カノムジーンナムギャオ (ขนมจีนน้ำเงี้ยว) は、タイの北部地方の代表的な麺料理の一つです。同じく人気のあるナムプリックにナムプリックオーン (น้ำพริกอ่อง) がありますが ... ナムギャオ (น้ำเงี้ยว) とは、ナムプリックオーンと同じ要領で作ったペーストからスープを作り、ニョウ (งิ้ว) と言うキワタ (木棉:Bombax ceiba) の花の雄しべを乾燥させたドークニョウヘーン (ดอกงิ้วแห้ง) なるものを入れたスープ。ナム (น้ำ) とは「水」の意味。一説によると ... このニョウが、後にギャオ (เงี้ยว) に変化したらしい。
そして、米粉の麺のカノムジーン (ขนมจีน) にナムギャオのスープをかけた料理なのでカノムジーンナムギャオなのです。もし「小麦粉で作られた平打ちの卵麺」のカオソーイを使えば、カオソーイナムギャオでしょうね。
ドークニョウヘーン以外のカノムジーンナムギャオの特徴は、ココナッツミルクが入っていない透明なスープであるナムサイ (น้ำใส) が基本、トマトを使っているのでほどよい酸味、北部地方独特の納豆から作ったうま味調味料であるトゥアナオ (ถั่วเน่า) が使われている、鶏の血豆腐のルアットガイ (เลือดไก่)、または豚の血豆腐のルアットムー (เลือดหมู) が入っていることが多い ... などが挙げられます。
以下の写真は、カノムジーン専門店のナムギャオの鍋の様子。この店は鶏の足「もみじ」を入れています。なお、バンコクでは専門店だから必ずある「麺スープ」とは限りません。タイの北部地方の料理を提供するレストランなら高い確率であると思います。
ココナッツミルクを使ったカノムジーンの「麺スープ」が多い中、ココナッツミルクを使わない北部地方のカノムジーンナムギャオ、もし見つけたら、また北部地方に行った折には是非一度挑戦してみてください。カオソーイ・チェンマイとはタイプの異なる麺料理です。
さてさて ...
以下の写真は、バンコクにあるカノムジーンナムギャオ専門店のカノムジーンナムギャオの様子。店主によれば、チェンライ県の下に隣接するパヤオ県のスタイルで、チェンライのように甘くないとのこと。
さすが専門店のカノムジーンナムギャオ。トロトロに煮込んである豚のスペアリブと鶏の足「もみじ」が入っているのです。
こぼれ話
以下の写真が、ニョウ (งิ้ว) と言うキワタの花の雄しべを乾燥させたドークニョウヘーン (ดอกงิ้วแห้ง) です。ドーク (ดอก) は「花」、ヘーン (แห้ง) は「乾燥」の意味。
トン・ニョウ (ต้นงิ้ว) で検索するといろいろな情報が見つかるのですが、花、樹皮、根などキワタの木の全てが漢方薬の材料のようですね。傷、やけど、鎮痛、かゆみ止め、解熱などなど ... 興味のある方は、各自で調べてみてくださいね。トン (ต้น) とは「木」の意味。
以下の写真が、とあるタラートで見つけた天日干しにしたトゥアナオの様子。丸い煎餅のようですね。火で炙ってからカオニャオと食べても美味しいとのこと。北部地方独特のうま味調味料です。
まずは、茹でた大豆を発酵させ日本の納豆状態にしてから、すり潰してペースト状にするのです。塩と乾燥唐辛子などを混ぜ合わた辛子納豆味噌のようなスタイルや保存のため薄く延ばして天日干しにしたスタイルもあります。トゥア (ถั่ว) は「豆」、ナオ (เน่า) は「腐る」の意味。ちなみに、日本の納豆はトゥアナオ・イープン (ถั่วเน่าญี่ปุ่น) ですね。北部地方の料理にはこのトゥアナオが使われること多いようです。なお、バンコクでトゥアナオを見つけることは難しいようですね。バンコクや海に近い地域のうま味調味料には小エビを塩漬けして発酵させてたガピがありますので ...
なお、ナムギャオを作るためのペーストから考案されたのがナムプリックオーン。興味のある方、参考まで ...
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