揚げバナナは、東南アジアでは非常にポピュラーなお菓子。タイではクルアイトート (กล้วยทอด) と呼ばれている唐揚げスタイル。クルアイ (กล้วย) は「バナナ」、トート (ทอด) は「油で揚げる」の意味。タイを代表するストリートフードの一つで、街中にはクルアイトート屋台が溢れています。
クルアイトートに使うバナナは、クルアイナムワー (กล้วยน้ำว้า) と言う品種。タイには多くの栽培品種がありますが、クルアイナムワーはその中でも重要な栽培品種の一つで一年中栽培ができるのです。長さは 10cm程度、甘みが少なくほのかな酸味、もっちりとした食感があります。タイの伝統菓子であるカオトムマット (ข้าวต้มมัด) やバナナチップスのクルアイチャープ (กล้วยฉาบ) をはじめお菓子に使われるバナナの殆どがクルアイナムワーなのです。お菓子や料理の調理用として使うも良し、完熟してから生で食べるも良し ... 非常に重宝されているバナナです。
以下の写真が、クルアイトートを揚げている屋台の様子。皮を剥いたクルアイナムワーを縦に3等分します。なお、完熟少し前の状態が好まれるとのこと。事前に準備してある衣を付けて油で揚げれば完成。
一般的に、衣はサクサクとした食感で甘味があり、バナナの果肉はもっちりとした食感でほんのりと酸味があります。この組み合わせがクルアイトートの特徴でしょう。タイ人は甘味と酸味の組み合わせが大好きなのです。なお、屋台により衣の厚みに違いがあります。衣が厚いとサクサク感よりカリカリ感が強くなります。私は厚い衣が好きなのですが、好みが分かれるところでしょう。
さて、このサクサク/カリカリの衣の作り方ですが ...
米粉と中力粉などと砂糖を水とナムプーンサイ (น้ำปูนใส) と呼ばれる石灰水で溶いて作ります。ナムプーンサイを入れることで衣がサクサクになるのです。なお、使う粉とその割合、砂糖の量は作り手次第。甘めに仕上げるのが一般的。ココナッツミルクやベーキングパウダーを入れるレシピもあるようです。その後、衣の生地の中に白ゴマとココナッツミルクを搾る時のように細かく削ったココナッツの果肉、またはココナッツミルクを搾った後の搾りカスを加えることが多いようです。ココナッツの風味をプラスするとともに衣が絡みやすくなり、さらに油で揚がったココナッツの果肉のサクサクの食感もプラスされるのです。細かく削ったココナッツの果肉は、マプラーオクート (มะพร้าวขูด) と言います。
クルアイトートは、最近のバンコクなら 20バーツ分からのスタートだと思います。バナナの大きさは何処の屋台でも同じですが、20バーツ分の数に違いがあります。以前と違い数が少なくなりました。そのため、我が家では 40バーツ分を買うことが多いかな? もちろん、揚げたては美味しいですが、冷めても美味しいですよ。小腹が空いたらクルアイトート、お試しください。
なお、クルアイトートはクルアイケーク (กล้วยแขก) と呼ばれることもあります。
こぼれ話
以下の写真は、クルアイトートとカノムカイノッククラターを売っている屋台の様子。この光景もよく見かけます。
そうそう、クルアイトート屋台では、サツマイモやタロイモの唐揚げも扱っていることがあります。マントートやプアックトートと言います。芋の唐揚げも美味しいですよ。