ナムプリックオーン (น้ำพริกอ่อง) は、タイ北部地方を代表する人気のナムプリック (น้ำพริก) の一つでしょう。ナムプリックとは「唐辛子ベースのディップやソース」の総称。なお、オーン (อ่อง) の名前の由来は、文末参照願います。ナムプリックオーンの見た目は、ミートソース、またはトマト入りの肉そぼろ。豚ひき肉のうま味に加え、酸味、塩味、辛味、甘味のあるディップです。見た目と味は作り手/作り方次第で多少の違いがあります。
ナムプリックオーンを生野菜や茹でた野菜に付けて食べるも良し、カイチャオ(タイ風オムレツ)、ケープムー(豚皮揚げ)、カオニャオや白いご飯のおかずも良し、さらにはスパゲッティやうどんも ... とにかく万能ディップ。我が家の嫁はタイ北部地方の出身だからだろうか、頻繁に、特にゆで卵があると買ってきます。ゆで卵にナムプリックオーンは、彼女にとって子供時代の懐かしいの味のようです。
私は、ご飯のおかずとしてのナムプリックオーンが大好き。ご飯をついつい食べ過ぎてしまいます。トロトロの目玉焼きや温泉卵を乗せても良いでしょう。そぼろ丼感覚でどうぞ!!
さてさて ...
ナムプリックオーンを自分で作ってみるのも面白いですよ。ナムプリックオーンのペーストは、多くのメーカーから発売されています。Lobo ブランドならスーパーマーケットで買えます。
以下、Lobo の Web サイト
URL:https://www.lobo.co.th/ja/product/20/เครื่องแกงน้ำพริกอ่อง-50-กรัม
作り方の YouTube 動画も見れますので参考にしてください。使うひき肉は豚でも鶏でも OK です。さらに適当にカットした生のトマト、ニンニクとホームデーン (หอมแดง) のみじん切りを加えるとより美味しくなります。煮汁が足りないなら水を足してトマトが煮崩れる程度まで煮込んでください。辛味の追加は唐辛子/乾燥唐辛子、塩味と甘みはナンプラーと砂糖で調整。多少甘味が強い方が美味しいと思います。煮汁の量はお好みで。ひき肉のそぼろを作る要領と同じです。簡単で美味しいので、是非、挑戦してみてください。
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本来なら小さなタイニンニクのガティアムタイ (กระเทียมไทย)、エシャロットのホームデーン (หอมแดง)、乾燥唐辛子のプリックヘーン (พริกแห้ง)、そして北部地方独特の納豆から作ったうま味調味料であるトゥアナオ (ถั่วเน่า) をクロック(調理器具の石臼)してナムプリックオーンのペースト作りから始めるのですが ...
今回紹介する方法は、ナムプリックオーンのペーストは作らない手抜きスタイル。手抜きでも美味しいですよ。ニンニクは粒の大きな中国ニンニクのみじん切り、ホームデーンは普通のタマネギのみじん切り、乾燥唐辛子は粉唐辛子、トゥアナオは身近にあるガピで代用します。ガピについては「カオクルックガピ」を参考に願います。ちなみに、以下の写真がホームデーン。小さいので皮を剥くのが面倒なのです。
さて、使う材料は大体の目安です。豚ひき肉は 500gでも問題無し。
豚ひき肉:400g
トマト:400g 以上
ニンニク:40g(大粒5〜6程度)
タマネギ:大の半分程度
ガピ:大さじ1
粉唐辛子:大さじ1
ナンプラー:大さじ4
グラニュー糖:大さじ3
以下の写真が準備したみじん切りのニンニクとタマネギの様子。
使うトマトは酸味の強い方が良いでしょう。小さなトマトは酸味があります。トマトはたくさん入れた方が美味しいと思います。適当に小さくカットして準備しておきます。
いよいよ、調理開始 ...
フライパンに油を引き、ガピと粉唐辛子を炒めて香りを引き出した方が良いと思うのですが、熱い油の中にガピを入れるとガピが飛び跳ねるので、中火から始めるとかの工夫が必要でしょう。適度な頃合いで豚ひき肉を加え、ある程度火が入ったら少々の水とナンプラーと砂糖の8〜9割程度を目安に入れ軽く煮込みます。ところで、我が家にある粉唐辛子はローストがきつめなので色が茶色。粉唐辛子はメーカーにより色や辛味に違いがあるので、辛味が苦手な方は少ない量で ... 後から足すことも可能です。
その後、カットしたトマトを入れてトマトから出る水分で煮込む流れになるのですが、トマトから水分が出るまで時間がかかるので、水分が足りないようなら水を加えます。トマトを潰すようにかき混ぜながら煮込み続けます。途中で味見しながら残りのナンプラーと砂糖で味を調整。使うガピの塩分量やタマネギの甘味、トマトの甘味と酸味に違いがあるからですね。なお、多少甘味が強い方が美味しいと思います。もし、酸味が足りない場合には、酸味のあるタマリンドソースを加えます。タマリンドソースについては「マカーム・ワーンとマカーム・プリアオ」を参考に願います。
トマトの形が無くなり、多少の煮汁が残った状態になれば完成。
ところで、いつも思うのですが、作り立ては味の輪郭がはっきりしないのです。一晩または丸一日、冷蔵庫で寝かせましょう。そうそう、途中で一度、残っている煮汁が全体に絡むように混ぜてください。冷蔵庫で寝かせることで美味しく変身します。ご飯に惜しみなく乗せて食べれる量のナムプリックオーンが完成しているはず ...
オーン (อ่อง) の由来
オーンさん (นายอ่องหม่อง:Mr. Ong Mong) の考案したナムプリックだからかな?
興味のある方は「นายอ่องหม่อง」で検索願います。
ざっくりと説明すると、オーンさんが北部の麺料理であるカノムジーンナムギャオを作っているところに、息子がお腹が空いたと泣き出したので、ナムギャオスープを作るために準備したナムギャオペースト(トマトと豚ひき肉入りの唐辛子ペースト)を食べさせたのです。辛かったので、野菜に付けて食べさせることに。ところが何と ... それが非常に美味しかったのです。近所の村人たちにも食べさせたところ、たいへんな人気になったのです。当時は考案者のオーンさんの名前を付けて、ナムプリックプーオーン “น้ำพริกปู่อ่อง”「オーンおじさんのナムプリック」と呼ばれていたようですが、時が経つにつれてプー (ปู่) が消えてナムナムプリックオーン (น้ำพริกอ่อง) になったとのこと。
カノムジーンナムギャオとトゥアナオについては、以下参照のこと。