タイの乾燥バエルフルーツ マトゥームヘーンとマトゥーム茶の話

マトゥーム茶のアイキャッチ タイの飲み物

柑橘系のフルーツを輪切りにして乾燥したものを見かけたことがありませんか? マトゥームヘーン (มะตูมแห้ง) と言います。マトゥーム (มะตูม) とは、バエルフルーツ/ベールフルーツ (Bael Fruit) のことで、ヘーン(แห้ง) とは「乾いた」の意味。マトゥームは、タイの自生の果物。宗教上の繋がりも深く縁起の良い植物とのことで古くから栽培されてきた歴史があります。果実は硬くて厚い外皮を持ち、柔らかな果肉と多数の種があります。この果実を輪切りにして乾燥したものがマトゥームヘーン。

マトゥームヘーン
マトゥームヘーン

そして、マトゥームヘーンを煎じたものがマトゥーム茶。ナムマトゥーム (น้ำมะตูม)、またはチャーマトゥーム (ชามะตูม) と言います。ナム (น้ำ) は「水」、チャー (ชา) は「茶」の意味。タイ式マッサージ店で、マッサージが終わった後に出てくるハーブティーがナムマトゥームですね。独特の甘い香りがあり、甘味とほんのりとした渋味があります。なお、色が薄いのに甘味が強い場合には、砂糖が入っていると思いますよ。

ナムマトゥーム(マトゥーム茶)
ナムマトゥーム(マトゥーム茶)

ナムマトゥームの作り方は後述しますが、マトゥームヘーンがあれば簡単に作れます。マトゥームヘーンは、街中の中華系乾物屋や漢方系薬屋の店先、さらにスーパーマーケットでも袋詰めにして売っています。

袋詰めのマトゥームヘーン
袋詰めのマトゥームヘーン
袋詰めのマトゥームヘーン
袋詰めのマトゥームヘーン
袋詰めのマトゥームヘーン(お土産用のため値段が高い)
袋詰めのマトゥームヘーン(お土産用のため値段が高い)

ところで、ハーブティーの扱いでティーバッグやインスタントパウダーも複数のメーカーから発売されています。スーパーマーケットや通販で買えますが、インスタントパウダーは砂糖入だと思います。

ティーバッグのチャーマトゥーム
ティーバッグのチャーマトゥーム
インスタントパウダーのチャーマトゥーム
インスタントパウダーのチャーマトゥーム
インスタントパウダーのチャーマトゥーム
インスタントパウダーのチャーマトゥーム

さてさて ...
タイでは、マトゥームヘーンが安く買えるので自分でナムマトゥームを作るのも面白いでしょう。私も時々作ります。以下、私流の作り方を紹介するので参考にしてください。

今回使ったマトゥームヘーンは 150g 入りで約半分の 75g と 1.5L 入りのペットボトルの水を1本を使います。100g 入りのマトゥームヘーンなら 50g でも問題ありません。理由は読み続けてもらえば分かりますが、濃さには好みがあるからですね。もし、大量に作るなら 200g のマトゥームヘーンに対して水 5Lを目安にしてください。

まず、ゴミやホコリが付いている可能性があるのでマトゥームヘーンを軽く水洗いします。その後、放置して軽く乾燥させます。

軽く水洗いしたマトゥームヘーン
軽く水洗いしたマトゥームヘーン(75g)

その後、フライパンやオーブントースターを使って香りが立つまで焼きます。カチカチに硬かった果肉が柔らかくなると思いますよ。多少焦げても問題無し。焼いた方が香りが出ますが、面倒なら焼かずとも OK です。鍋で 1.5L 入りのペットボトルの水を沸騰させた中にマトゥームヘーンを入れて強火で煮始めます。最初に多少のアクが出るので私は軽く取り除きます。その後、中火から弱火にして 15分程度煮続けます。もし、濃い目に抽出したいなら煮る時間を 5〜10分程度延長してください。

マトゥームヘーンを煮ている鍋の様子
マトゥームヘーンを煮ている鍋の様子

以下の写真が煮終えたマトゥームヘーンの鍋の様子。私の場合はマトゥームヘーンを引き上げて完成。なお、鍋底には崩れたマトゥームヘーンの果皮などが沈んでいるので、気になる方は漉し器を使って濾してください。私は面倒なので上澄みだけを使います。

マトゥーム
煮終えたマトゥームヘーンの鍋の様子
完成したナムマトゥームの様子
完成したナムマトゥームの様子

なお、今回の分量で作ったナムマトゥームは、濃いと感じる方が多いのではと考えます。氷を入れてアイスにするなら良いのでしょうが、ストレートのホットで飲むには濃すぎると思います。濃いと感じる方は水を加えて薄めてください。甘味が欲しいなら好みの量の砂糖を加えて温め直してください。私の場合は、作り置きして冷蔵庫で保管するので飲む前に水で割って電子レンジでチン。ホットで飲むなら倍の水で割って少し砂糖を入れた方が美味しいと感じる方が多いと思います。
一度作れば、貴方好みの濃さが分かると思いますので調整してみてください。

こぼれ話
中華街のヤワラーでは、マトゥームヘーンを扱っている店がたくさんあります。中国語の表記なら「木橘/木橘果」ですね。面白いことに乾燥ナツメのプッサージーンヘーン (พุทราจีนแห้ง) や乾燥龍眼のラムヤイヘーン (ลำไยแห้ง)、乾燥ローゼルのグラジアップヘーン (กระเจี๊ยบแห้ง) などが入っている詰め合わせも売っているのですよ。他の材料との合わせ技もありなのですね。そうそう、パンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) と合わせるのもあり。

マトゥームヘーンの詰め合わせ(4種類)
マトゥームヘーンの詰め合わせ(4種類)
マトゥームヘーンの詰め合わせ(3種類)
マトゥームヘーンの詰め合わせ(3種類)

以下、タイ公共放送 (Thai PBS) のマトゥームを利用した料理の動画。他の材材との合わせ技のナムマトゥームの様子もあります。参考まで ...
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=XAvCuQASUaw

以下の写真は、時々街中で見かけるマトゥームの甘露煮の様子。マトゥームチュアム (มะตูมเชื่อม) と言います。

マトゥームの甘露煮
マトゥームの甘露煮