タイの三枚肉の塩豚揚げ 嫁の田舎のムーケム

ムーケムのアイキャッチ タイ料理

タイには、ムーケム (หมูค็ม) と呼ばれている家庭料理があります。ムー (หมู) は「豚肉」、ケム(ค็ม) は「塩っぱい」の意味。ムーケムとは、塩や醤油で味付けした豚肉料理なのですが、地域性やそれぞれの家庭により違いがあるようです。なお、辛くないので子供にも人気の料理。今回紹介するのは、タイ北部地方生まれの嫁の田舎の通称ムーケム。豚の三枚肉を使っているので、ムーサムチャンケムかな? サムチャン(สามชั้น) とは「三層」の意味なので、ムーサムチャン (หมูสามชั้น) で「豚の三枚肉」を指します。

水を入れて煮込むスタイルのムーケムもありますが、嫁の実家のムーケムは水は全く使いません。自身の脂身から溶け出したラードで揚げるような/煮込むような感じで作るのです。非常にシンプルで、面白い調理方法なのですよ。イメージが掴めない方は、以下の動画を参考にしてください。多くのムーケム動画は水を入れて煮込むスタイルなのですが、この動画は水を使っていません。

なお、嫁の実家のムーケムの作り方は、紹介動画より三枚肉のカットのサイズは一回り大きいですね。4センチ×5センチ×三枚肉の高さだろうか? 脂身が溶け出す上に三枚肉が崩れて小さくなってしまうからです。下味は塩とシーズニングソースのみでよく揉んでから30分ほど休ませ、食用油は使わず三枚肉自身から溶け出るラードのみで完成させます。なお、嫁の実家では1度に2〜3キロ程の三枚肉を使います。量が少ないと十分なラードが出ないからでしょう。

今回は嫁の実家に帰郷する機会があったので、バンコクの自宅への持ち帰り用にムーケムを作ってもらうことに ... 以下の写真が作り立てのムーケムの様子。

作り立てのムーケムの様子
作り立てのムーケムの様子

ほんの少しだけ実家に残し、残りは小分けに袋詰め。大量に出たラードも余す所なく袋詰め 55555 ... ムーケムもラードも自宅では冷凍保存。このラードでチャーハンを作ると美味しいのですよ。ムーケム入りなら更に美味しい!
冷凍保存のムーケムは白く固まったラードが溶け出し始めるまで電子レンジで温めます。やり過ぎは脂身が溶け出すから禁物。多少冷たくても熱いご飯の上に乗せれば脂身がトロリ。これが、実にウマい! ご飯が止まらい! 塩っぱい肉は、問答無用で食欲をそそるのです。55555 ...

ご飯に乗せたムーケムの様子
ご飯に乗せたムーケムの様子

そのままでも塩味があるので美味しいのですが、今回は嫁の実家の自家製のナムプリックパオで。

ムーケムと自家製ナムプリックパオ
ムーケムと自家製ナムプリックパオ
ご飯と一緒のムーケムの様子
ご飯と一緒のムーケムの様子

もちろん、カオニャオで食べるも最高でしょう。ムーケムを食べやすく薄くスライスするのもあり。前述したようにチャーハンに入れるもサラダに入れるも良し。好みのつけダレを使うも良し。チャーシューのようにいろいろな料理にも利用できます。

ところで ...
非常に似たような料理にムートート (หมูทอด) があります。細切りの豚肉に醤油やナンムラーベースの下味を付けて、食用油で揚げた豚肉料理です。三枚肉のムートートもあり美味しいのですが、ムーケムとは何かが違うのです。多分、砂糖が使われているからだろうか? さらに、三枚肉のムートートの皮は硬いのですが、ムーケムの皮は硬くならないのですよ。

三枚肉のムートート
三枚肉のムートート

そうそう、タイには「甘い豚」と呼ばれるムーワーン (หมูหวาน) があります。ワーン (หวาน) とは「甘い」の意味。そして、ムーピン (หมูปิ้ง) やムーサテ (หมูสะเต๊ะ)、ムーデーン (หมูแดง) のタレは基本甘め。甘めの豚肉料理が多い中、塩っぱい「ケム」の豚肉料理がムーケムなのです。
ムーケムは、街中の屋台やレストランでは見つけることが非常に難しいかもしれません。少量の三枚肉で作るなら煮込みスタイル、動画のように少量の食用油を使うか、またはラードが溶け出すまで少量の水を加える調理方法もあります。機会があったらムーケム作りに挑戦してみてください。

こぼれ話
三枚肉の塊肉は一部のスーパーマーケットでも扱っていますが、タラート(ローカルマーケット)の豚肉屋なら必ず置いています。なお、タイでは、豚肉屋と鶏肉屋は分かれています。日本の肉屋とは違うのです。以下、タラートの豚肉屋の三枚肉の様子。なお、タイではタラートの豚肉屋で買った肉は必ず水洗いしてから、カットするのが基本ですよ。ゴミや骨を叩き切った時の割れた小さな骨が付いている場合もあります。

豚の三枚肉
タラートの豚肉屋の三枚肉の様子