カオムーデーン (ข้าวหมูแดง) とは、叉焼（チャーシュー）をご飯に乗せた叉焼飯。煮て作る焼豚（チャーシュー）ではなく、焼いて作る中華叉焼のチャーシュー丼。カオ (ข้าว) は「ご飯」、ムー (หมู) は「豚」、デーン (แดง) は「赤色」の意味。そして、ムーデーン (หมูแดง) は「叉焼」を意味します。
紅糟（ホンツァオ）の赤い中華叉焼を見て「ムーデーン」になったのか、赤く着色するから「ムーデーン」なのか？ ガイヤーンデーン（赤い焼き鳥）もチャーノム（ミルクティー） も赤く着色していますよね。そうそう、ペットヤーン（焼いた鴨肉）もあります。タイ人は赤く着色することで綺麗に、そして美味しそうに感じる傾向があるらしい。一部のタイ人は赤く着色しないとマイスワイ (ไม่สวย) と考える方々がいるようですよ。マイスワイとは「綺麗ではない」の意味。なお「新鮮な肉に感じるから」だとの話もあるらしい。
さて ...
カオムーデーンは、店により味付けも盛り付けにも違いがあります。ざっくり言えば、中華スタイルからタイスタイルまでの幅があるのです。タイには、中華系タイ人がたくさんいますが、中華スタイルのカオムーデーンの専門店は、肉もかけダレも赤くないことがあるのです。しかし、メニュー名はカオムーデーン。
そして、タイスタイルと思われるカオムーデーンの店/特に屋台は、肉もかけダレも赤色が強く、クンチアン (กุนเชียง) なるタイの甘いソーセージが添えられている傾向があります。加えて、煮卵/茹で卵やカリカリに揚げた豚の三枚肉のムークロープ (หมูกรอบ) を付ける店もあります。見た目の色や甘めの味付けのためなのか、タイの子供達に人気のある料理です。
カオムーデーンは、もちろんテイクアウトが可能です。以下の写真は、テイクアウトしたカオムーデーンの様子。クンチアン、ムーデーン、ムークロープ、卵、付け合わせの野菜、さらにスープまで。かけダレは袋入り。
カオムーデーンのかけダレは、色の違いがありますが、中華スタイルでもタイスタイルでも中華系の甘味のあるタレです。テーブルには、クルアンプルン (เครื่องปรุง) と呼ばれる調味料セットがあるので、自分で味の調整が可能です。一般的には、甘い黒醤油とお酢に輪切り唐辛子を入れた甘味/酸味/辛味のあるナムチム (น้ำจิ้ม) が、カオムーデーン用のタレです。ナムチムとは「つけダレ」のこと。なお、輪切り唐辛子入りのお酢や唐辛子でも問題なし。美味しくいただくことが大切ですよね。
カオムーデーンは、街中の専門店、フードコートや屋台で食べることができます。なお、焼いた鴨（アヒル）肉をご飯に乗せたカオナーペット (ข้าวหน้าเป็ด) も一緒に提供している店が多いかもしれません。どちらも似たような中華系の料理だからでしょう。
以下の写真は、カオムーデーンの店の様子。店先のショーケースにムーデーンや焼いた鴨のペットヤーン (เป็ดย่าง) などを吊るしてあるのです。面白いことに赤く着色したペットヤーンと着色していないペットヤーンがあるのです。何故だろう？
こぼれ話
中華麺を使ったタイ風ラーメンのバミー (บะหมี่) の具に赤いムーデーンを使う店があります。また、チャーシュー麺のようにムーデーンがタップリ乗っているバミーもあります。バミー・ムーデーン (บะหมี่หมูแดง) と言います。なお、タイでは汁なしのバミーヘーン (บะหมี่แห้ง) が人気。
もちろん、米粉の麺を使ったクイッティアオ (ก๋วยเตี๋ยว) の具にムーデーンを使うのもあり。
ところで、日本のラーメン店などの焼豚は、豚肉を焼いてから煮ると思いますが、叉焼は、豚肉に漬け汁で下味を付けてから焼く、または、漬け汁（煮汁）で茹でてから焼いて作ります。そして漬け汁（煮汁）を利用してかけダレを作ります。
タイの AJINOMOTO からは、以下の写真のようなムーデーンの素が発売されています。Lobo にもあります。タイのムーデーン作りに挑戦してみるのも面白いかもしれませんね。
カオナーペットやペットヤーンは、以下参照願います。
