イサーン地方の魚醤と言えば、ナムパラー (น้ำปลาร้า) ですね。このナムパラーと生の唐辛子を使ったナムプリック (น้ำพริก) が、ジェオパラー (แจ่วปลาร้า) です。ナムプリックとは「唐辛子ベースのディップやソース」の総称。そして、ナンプラーやナムパラーを作る材料が「塩付けして発酵させた魚肉」のパラー (ปลาร้า) です。このパラーと乾燥唐辛子を使ったナムプリックが、ジェオボン (แจ่วบอง) なのです。どちらも、イサーン地方の定番のナムプリックです。なお、イサーン地方では「ディップ」に相当するものをジェオ (แจ่ว) と呼ぶのです。
ジェオパラー (แจ่วปลาร้า)
基本的な作り方は ... プリックデーンジンダー (พริกแดงจินดา) なる赤唐辛子、皮を剥かない状態のホームデーン (หอมแดง) とニンニク、さらにトマトの4つの材料を焦げ目が付き火が通るまで炭火で焼いたり、フライパンで乾煎りします。ホームデーンとは、タイのエシャロットのこと。なお、ホームデーンとニンニクの焦げた皮は剥いておきます。その後、これらの4つの材料を一緒にクロック(調理器具の石臼)で潰してナムパラーと塩で味付けして完成。ナムパラーとは、発酵した魚肉自体も混ざった濁りのある魚醤。ソムタムプーパラーに使われる魚醤ですね。
茹でた野菜や魚料理に多く用いられるディップです。作り手により材料の割合や他の材料も使ったりと多少の違いがあります。彩り、または辛味増しのためなのか青い唐辛子が入っていることもあります。イサーン色の強いレストランや屋台で見かけますが、相当辛いディップです。
ジェオボン (แจ่วบอง)
基本的な作り方は ... 乾燥唐辛子、ニンニク、ガランガルやレモングラス、ホームデーン、コブミカンの葉などの香味野菜をスライスしてからフライパンでしっかり乾煎りし、クロックで叩いた後、塩付けして発酵させた魚肉のパラーを加えて混ぜ合わせ、酸味のあるタマリンドやナムパラー、パームシュガーで味を調整して完成。なお、作り手により見た目の色や水分の量などに違いがあると思います。
ジェオボンは、炭火焼き系の肉料理に多く用いられるディップです。もちろん、茹でた野菜やカオニャオに付けて食べるもあり。バンコクでも串打ちスタイルのムートート屋台やムーパラー (หมูปลาร้า) と言う串打ちスタイルの豚肉の炭火焼き屋台でよく見かけます。別売りで用意していることが多いかもしれません。なお、ジェオボンで豚の串焼きを食べるスタイルをムーパラー、牛の串焼きならヌアパラー (เนื้อปลาร้า) と言います。
以下の写真は、最近目にすることが多い豚肉を天日干ししたムーデートディアオをぶら下げている屋台。この屋台にはムーパラー (หมูปลาร้า) と書いてあることが多いかもしれません。
ところで、ナムチムジェオ (น้ำจิ้มแจ่ว) なるつけダレもありますね。ヤム系料理のラープムーやナムトックコームーヤーンの味付けと同じなので一般受けしますが、ジェオボンはやはりパラーの癖が強いので食べ慣れないと難しいかもしれません。パラーが苦手なタイ人も多いのですよ。イサーンの旨味調味料のパラーに興味がある方、一度ジェオボンに挑戦してみてください。