タイ料理 ムーデートディアオとムープアン(豚肉の天日干し)

ムーデートディアオ/ムープアン タイ料理

最近、私の周りでよく目にするようになったのが、ムープアン (หมูพวง) と呼ばれる平たい竹ひごに通した豚肉の天日干し。ムー (หมู) は「豚肉」、プアン (พวง) は「房/束」の意味。見た目からの命名なのでしょう。なお、天日干した豚肉はムーデートディアオ (หมูแดดเดียว) と言います。デート (แดด) とは「日光」、ディアオ (เดียว) とは「一つ」の意味なのですが、デートディアオで「短時間の天日干し」程度の意味と解釈した方が良いようです。長時間、天日に干せば保存性は上がりますが肉が硬くなりますよね。実際のところは、肉の表面が乾燥した程度で中は柔らかいものが多いですよ。日本の魚の干物(ひもの)と同じでしょう。

ムーデートディアオ(ムープアンスタイル)
ムーデートディアオ(ムープアンスタイル)

豚肉の天日干しはザルや網でも可能なのですが、ムープアンのスタイルは干し場や保存スペースなどを考えた知恵なのでしょうね。

ムーデートディアオは、クロックで潰したニンニクやパクチーの根と醤油やナンプラー、オイスターソース、砂糖、コショウなどの調味料で作った漬けダレに薄くスライスした豚肉を漬け込んでから天日干し。平たい竹ひごに通してから天日干しにすればムープアン。天日干しした豚肉は、油で揚げたり焼いたりして調理します。

以下の写真は、おかず屋台の油で揚げたムープアンの様子。

おかず屋台の油で揚げたムープアン
おかず屋台の油で揚げたムープアン

なお、天日干しやプアンスタイルは豚肉だけではありません。鶏肉もあれば牛肉もあります。鶏肉の天日干しならガイデートディアオ (ไก่แดดเดียว)、牛肉の天日干しならヌアデートディアオ (เนื้อแดดเดียว)です。
以下の写真は、焼き物系屋台の様子。手前に写っているのは、鶏肉のガイプアン (ไก่พวง) ですね。

焼き物系屋台の様子
焼き物系屋台の様子
ムープアンを焼いている様子
ムープアンを焼いている様子

以下の写真は、油で揚げたムープアンとカオニャオの様子。下味がしっかり付いているので、そのままでも美味しいですよ。

ムープアンとカオニャオの様子
ムープアンとカオニャオの様子

ところで、豚肉に下味を付けて油で揚げた料理の総称がムートート (หมูทอด) です。実はムートート屋台にもムーデートディアオを扱っている店があります。一般的なムートート屋台では、プアンスタイルで売らないだけなのですよ。

油で揚げたムープアン(ムートート)の様子
油で揚げたムープアン(ムートート)の様子

以下の写真は、最近目にするムープアンをぶら下げている屋台。この屋台にはムーパラー (หมูปลาร้า) と書いてあります。パラー (ปลาร้า) とは、魚醤のナンプラーやナムパラーを作る材料になる「塩付けして発酵させた魚肉」のこと。このパラーを使ったつけダレが、イサーン地方の定番のジェオボン (แจ่วบอง) なるナムチムです。

ジェオボン イサーン地方の定番のナムチム
ジェオボン イサーン地方の定番のナムチム

このナムチムで豚肉を食べるスタイルがムーパラー、牛肉ならヌアパラー。生野菜とカオニャオも一緒ですね。とのことで、別売りでジェオボンを売っています。

ムーパラー屋台(ムープアンスタイル)
ムーパラー屋台(ムープアンスタイル)

以下の写真は、調理する前の牛肉のヌアプアン (เนื้อพวง) の様子。豚肉と比べると肉に赤味があります。

調理する前の牛肉のヌアプアン/ヌアデートディアオ
調理する前の牛肉のヌアプアン/ヌアデートディアオ

例えば、天日干しスタイルのムートートと生肉からのムートート、貴方はどちらが美味しいと感じるのでしょう。串打ちムートート屋台で食べ比べてみるのも面白いですね。