炭火で焼いたナマズはプラードゥックヤーン (ปลาดุกย่าง) と言います。プラードゥック (ปลาดุก) とは「ナマズ」、ヤーン (ย่าง) とは「焼く」の意味。最近の街中の屋台では、プラーニントート (ปลานิลทอด) と言うティラピアのフライの人気に押され、かつてのような勢いは無いけれど、まだまだプラードゥックヤーンは健在です。
最近見つけた美味しいプラードゥックヤーンの屋台。その屋台では、ナマズの大きさにもよりますが、40〜50分、または1時間近い時間をかけてゆっくりと炭火で焼いているのです。身に切れ目を入れた上に、長時間焼いているので水分が抜け落ちているのでふっくら感はありませんが、身が締まり旨味は凝縮されているのです。皮はパリパリで、皮目やヒレ周りから浮き出た脂は半端無いですよ。タイでは、ナマズはゆっくり焼いた方が美味しいと言われているのです。
以下の写真は、下処理が済んで焼く前のナマズの様子。もちろん、作り手毎に川魚特有の匂いを消すためにいろいろと工夫を凝らしています。一般的には腹を開いて内臓を取り除き、塩とタピオカ粉を使ってヌメリをしっかり洗い流し、塩水処理の流れでしょう。さらに、開いた腹の中に、叩いて潰したレモングラスをコブミカンの葉で巻いたものを詰めて焼いています。タイでは一般的な方法ですね。なお、レストランなどでは、匂い消しや香り付けのハーブを利用して下味を付けたりもするようです。
以下の写真は、焼けるのを待ってテイクアウトした焼きたてのプラードゥックヤーン。30cm程度の大き目のサイズで、一尾 40バーツ也。なお、小さ目のサイズは 30バーツ。多分バンコクの相場なら小さ目のサイズで 30バーツ、大き目のサイズで 40〜50バーツ程度だろうと思います。オススメは大き目のサイズ。脂の乗りが違います。
以下の写真は、脂が浮き出ている様子なのですが、分かるでしょうか?
以下の写真が焼けたナマズを開いた身の様子と付属のつけダレの様子。なお、つけダレは必ず付いてくるとは限りません。
川魚の塩焼き系の場合は、どうしても臭みが残ることが多いのですが、ナマズの炭火焼きは臭みは感じないと思います。まだ食べたことがない同胞諸君、一度挑戦してみてください。なお、キッコーマンでどうぞ!
ところで ...
プラードゥックヤーンは、どちらかと言えば専門色が強い屋台が多いかもしれません。また、焼き場のある焼き物系の屋台なら焼いている光景を目にします。ところで、街中のおかず屋台にアイテムの一つとして並んでいることもありますが、聞くところによると仕入れ売りが多いようです。何しろ焼く時間が長いので負担になるのでしょう。そのため、多くのおかず屋台では、開いて天日干し後にフライにしたスタイルが多いのですよ。プラートゥートート (ปลาทูทอด) やプラーニントート (ปลานิลทอด) もそうですが、フライの方が調理時間が短い上に手間がかからないからでしょう。トート (ทอด) とは「油で揚げる」の意味。
そうそう、焼いたナマズを使ったオススメ料理がヤムプラードゥックフー。興味のある方、参考まで ...
こぼれ話
洒落たレストランでは、焼き魚のメニューの中にプラードゥックヤーンは無いことが多いと思います。代わりにあるのが、雷魚やティラピア、バラマンディ (Sea Bass) の塩焼き。塩焼きはタイ語でパオグルア (เผาเกลือ) と言います。パオ (เผา) は「強火で焼く」、グルア (เกลือ) は「塩」の意味。強火で短時間で焼くのでふっくら感がありますが、どうしても臭みが残ることが多いですね。
ちなみに、脂の乗りが良くて美味しいナマズは、プラーゴットカン (ปลากดคัง) と言う尾ビレが赤いナマズ。巨大ナマズの仲間で高級魚。トムヤムスープのトムヤムプラーゴットカン (ต้มยำปลากดคัง) は美味しいですよ。参考まで ...
ところで ...
タイ料理は肉を使った料理が多いと感じている方が多いかもしれませんが、元々は、日本人と同じく魚介類がメインの食文化。もちろん、内陸部では淡水魚でしょう。しかも種類が多い上に巨大魚もいます。今でも、バンコク郊外や地方のタラートでは、川魚の干物を扱っている店がたくさんありますよ。タイの食文化の変化を表している面白い文章を見つけたので紹介しましう。
「昔、貧しい人々はエビ、貝、カニ、魚を食べていました。裕福な人は豚肉、キノコ、アヒル、鶏肉を食べていました。今、裕福な人はエビ、貝、カニ、魚を食べます。貧しい人々は豚肉、キノコ、アヒル、鶏肉を食べます。」