タイには、お馴染みのパクチー以外にもパクチーの仲間のハーブがあります。パクチーファラン (ผักชีฝรั่ง) とパクチーラオ (ผักชีลาว) です。この2種のパクチーと区別するために、お馴染みのパクチーをパクチータイ (ผักชีไทย) と呼ぶことがあります。これらの3種のパクチーは、見た目、匂い、食感などが明らかに違います。今回は、パクチーファランとパクチーラオの話。
以下の写真は、タラートの八百屋の様子。上がパクチーファラン、下がパクチーラオです。
パクチーファラン (ผักชีฝรั่ง)
パクチーファランは、その葉の形状からノコギリコリアンダーとも呼ばれています。和名は「オオバコエンドロ」、英名は「Culantro」です。日本においては、パクチーは江戸時代にポルトガル人から伝えられたようで、ポルトガル語の「Coentro」からコエンドロと呼ばれるようになったとのこと。そして、葉が大きい品種なので「大葉コエンドロ」とのこと。タイにおいても同様に、ポルトガル人から伝えられたので、パクチーファランなのです。ファラン (ฝรั่ง) とは「西洋」を意味します。
パクチーファランのスパイシーな独特の香りのためなのか、辛いスープや辛いヤムなどの料理によく利用されます。辛いスープ系のトムヤムクン (ต้มยำกุ้ง) 、トムセープ (ต้มแซบ) などには必ず入っていると思います。これは、葉の特性も関係しているはずで、パクチータイでは、火が通るとヘタヘタになってしまいますが、葉がしっかりしているパクチーファランならその存在を主張できます。なお、トムセープとは、ハーブをふんだんに使いナンプラー味の辛味と酸味のあるクリアなスープの総称です。骨付き豚カルビのトムセープは人気がありますね。そうそう、忘れてはならないスープにはトムカーガイもあります。辛いヤム系ならイサーンのラープムー (ลาบหมู) やナムトックコームーヤーン (น้ำตกคอหมูย่าง) があります。バンコクならタラートの八百屋で簡単に見つかります。
パクチーラオ (ผักชีลาว)
パクチーラオの和名は「イノンド/ディル」、英名は「Dill」です。パクチーラオのラオ (ลาว) とは「ラオス」のこと。ラオス人が栽培しているパクチー、ラオス料理に使われるパクチーだからパクチーラオと呼ばれているとのこと。
パクチーラオは、葉も茎も食べれます。
タイでは、ラオスに近いイサーン地方でよく使われているパクチーです。生臭さを消すために、特に魚系の料理に使われることが多いですね。イサーン地方の煮込み料理のゲーンオム (แกงอ่อม)、スクランブルエッグ系料理のクアカイ (คั่วไข่) などに使うようですが、風味が強いのでパクチーラオを敬遠する方も多いようです。そのため、バンコクでは一部のタラートの八百屋でしが見つかりません。
バンコクの八百屋のハーブ風景
タラートの八百屋の陳列の様子を見れば、よく使われている人気のハーブが分かると言うものです。私の行動範囲内での考察です。
まず、以下の写真の店のハーブは、ちょっと見づらいですが ... 手前の下部の左からトンホーム (ต้นหอม)、その右ですが、よく見るとパクチータイは、トンホームまたはクンチャーイ (ขึ้นฉ่าย) と組み合わせて輪ゴムで括ってあります。上部は、左からトゥアファクヤーオ (ถั่วฝักยาว)、そして、パクチーラオ、パクチーファラン、その右がトムヤムスープに使う「カー (ข่า) + バイマックルー (ใบมะกรูด) + タックライ (ตะไคร้)」のセット、茶色いものがクラチャーイ (กระชาย)、その右がタイキュウリのテンクワー (แตงกวา) と並んでいます。
見て取れることは、手前にあるパクチータイがもっとも使われるパクチーなのですが、単独で利用することより、トンホームなどと一緒に使われることが多いので、セット売りを用意しているのです。興味のある方は以下を参照願います。
次に、以下の写真の店のハーブは、多少品質に難がありそうですが、今でも5バーツで売っていることが驚きです。下部の左からパクチーファラン、パクチータイ、トンホーム、クンチャーイです。
パクチータイとパクチーファランは確認できますが、パクチーラオがありません。そう、バンコクの八百屋では、パクチーラオを置いていない店の方が多いのですね。バンコクでは、パクチーラオは人気がないのでしょう。我が家の嫁もパクチーラオが好きではないようです。
そして、写真の上部の左からホーラパ- (โหระพา) とガパオ (กะเพรา) です。バジル系は、この2種があれば OK なのです。興味のある方は以下も参照願います。
実際に、5バーツで売っているホーラパ-、ガパオ、パクチーファラン、パクチータイ、トンホーム、クンチャーイの6種のハーブさえあれば、タイ料理らしい香りと風味のある料理が作れるのですよ。