クルアイブアットチー バナナのココナッツミルク煮は色が白いはず?

クルアイブアットチーのアイキャッチ タイのお菓子/デザート

デザート屋台などで見かけるバナナを甘いココナッツミルクで煮たデザート。クルアイブアットチー (กล้วยบวชชี) と言う。クルアイ (กล้วย) とは「バナナ」、ブアット (บวช) とは「出家」、チー (ชี) とは「尼僧」の意味で、ココナッツミルクの色が白い様子を尼僧の白い僧衣に喩えたネーミングらしい。タイを代表する伝統的なデザートの一つである。

ココナッツミルクの色が白いクルアイブアットチー
ココナッツミルクの色が白いクルアイブアットチー

ところがである。
嫁がテイクアウトしたクルアイブアットチーのココナッツミルクの色は黒っぽい。使うバナナはクルアイナムワー (กล้วยน้ำว้า) と言う品種なのだが、クルアイナムワーには渋があり、この渋み成分を含む果汁がココナッツミルクに溶け出すと黒くなるらしい。

嫁がテイクアウトクしたクルアイブアットチーの様子
嫁がテイクアウトクしたクルアイブアットチーの様子
クルアイブアットチー
ココナッツミルクの色が黒っぽいクルアイブアットチー

厳密に言えば、名前が示すようにココナッツミルクが白くないとクルアイブアットチーとは呼べないのかもしれない。本来なら黒くならないようにするためには事前に渋抜きが必要なのだ。皮付きのままのクルアイナムワーを柔らかくなるまで茹でると渋が抜ける。渋抜き後に皮を剥いて食べやすい大きさにカットしてから砂糖を加えたココナッツミルクで煮直すとココナッツミルクが黒くならないのである。ひと手間必要なのだ。

ところで ...
タイにはカボチャや芋類、豆類、果物などを甘いココナッツミルクで煮たデザートにゲーンブアット (แกงบวด) がある。よく見かけるのがカボチャを使ったゲーンブアットファクトーン (แกงบวดฟักทอง) だろう。ゲーンブアットはココナッツミルクに白色を求めない。食材の色がそのまま反映されるのだ。なお、食材にクルアイナムワーなるバナナを使う時には、通常ブアットチー (บวชชี) と呼び変えるのだ。カタカナで表現すると同じブアットだが、タイ語だと「บว」と「บว」で綴りが違うし意味も違う。

とのことで、嫁がテイクアウトしたのはクルアイナムワーのゲーンブアットだったと言う話。余っているクルアイナムワーを家庭で作る場合ならゲーンブアットで十分。見た目のココナッツミルクの色に違いがあるが味は変わらない。

こぼれ話
同じバナナでもクルアイカイ (กล้วยไข่) と言う品種のバナナを使うと黒くならない。渋み成分がないからなのだ。そして、クルアイカイブアットチー (กล้วยไข่บวชชี) と呼び区別するのが一般的。なお、クルアイナムワーを使ったからと言ってクルアイナムワーブアットチーと呼ぶことはない。クルアイブアットチーである。

ところで、クルアイナムワーはタイを代表するバナナで、生食はもちろん、バナナの唐揚げのクルアイトートや焼きバナナのクルアイピン、伝統菓子のカオトムマットなどにも利用されている。クルアイナムワーやタイのバナナに興味のある方は、以下を参考にして欲しい。