ココナッツミルクは、タイ語でガティ (กะทิ) と言います。タイ料理やタイ菓子作りには欠かすことが出来ない食材の一つです。昔からあるタラート(ローカルマーケット)界隈なら現場でココナッツミルクを絞っているガティの店がある可能性が高いでしょう。
ココナッツミルクの話
嫁がココナッツミルクのスープを作りたいとのことで、タラートへ買い出しに。もちろん、搾りたてのガティ。ビニール袋に入れてもらえます。やはり、搾りたては風味と甘味が違います。なお、静かに置いておくと、みるみるうちに脂肪分と水分が分離するのです。
小さく刻んたココナッツの果肉を少量の水の中でしっかり揉んで白濁した液体のみを濾したものがココナッツミルク。一番搾りの脂肪分をたくさん含んだ濃いココナッツミルクをフアガティ (หัวกะทิ) と言います。タイのお菓子によく使われる白いココナッツミルクのソースは、このフアガティを使います。絞りカスに再度、水を加えて搾れば二番絞りです。一般的には三番絞りまで行います。作る料理やお菓子に合わせて使い分けるのです。三番絞りは、スープの煮汁や粉物を捏ねる時の水の代わりにも使われます。ココナッツミルクの風味がさらにプラスされるのです。今でも、自分でココナッツミルクを搾っている方もいるとは思いますが、結構な労力。今ではタラートで買うことが多いのでは? なお、タラートでは専用の機械で絞ります。搾り方は、後述参照のこと。
ところで ...
スーパーマーケットに行けば、缶詰、UHT(超高温殺菌)、パスチャライズ(低温殺菌)のココナッツミルクが簡単に買えます。タラートと比べ値段は高いですが、大手メーカーのココナッツミルクの方が衛生的で安心かも。さらに買い置きも可能です。ただし、風味や甘味は搾りたてに軍配が上がります。
タラートの搾りたてのココナッツミルクは殺菌していないので、必ず火を通してください。そして、なるべく早く使いましょう。なお、ロートチョンナムガティやブアローイなどの甘いココナッツミルクは、パームシュガーと香付けのパンダンの葉を入れて火を通して作ります。ナムガティ (น้ำกะทิ) と言います。
かつて、とある日本人に「ココナッツミルクはそのまま飲めるの?」と聞かれたことがあります。殺菌処理してあるココナッツミルクならそのままでも飲めると思いますが、タイ人はそのままでは飲まないでしょうね。その日本人によくよく聞いたら、白色のイメージからどうもエバミルクと勘違いしていたようでした。タイでもアイスコーヒーやアイスティーに入れるのはエバミルクか牛乳です。なお、生のままで飲むココナッツジュースは、タイ語でナームマプラーオ (น้ำมะพร้าว) と言います。透明なジュースです。
機械によるココナッツミルクの搾り方
とあるタラートにあるガティの店の作業風景からココナッツミルクの搾り方、ガティの作り方を見てみましょう。
以下の写真は硬い殻を取り除いたココナッツの果肉です。事前に準備しています。
まず、硬い殻を取り除いたココナッツの果肉を粉砕機にかけて細かくします。
次に、粉砕されたココナッツの果肉を搾り袋に入れます。
そして、果肉を入れた搾り袋をそのまま搾り機にかけてココナッツミルクを抽出します。搾り袋に圧力をかけて搾り取るのです。ココナッツミルクが流れ出ている様子が分かりますよね。一番搾りの濃いココナッツミルクです。フアガティです。
この店には2台の絞り機があるのですが、右側が一番搾り用の機械のようです。一番目を搾り取った後の袋に水を足して左側の絞り機で二番絞りを、更に水を足して三番絞りを作る流れ。搾り取ったココナッツミルクはそれぞれ分けてビニール袋に入れてお客のもとへ。お客は業務店が多いのでしょうね。ビニール袋に入れられたココナッツミルクはスタッフが順次デリバリー。
こぼれ話
スーパーマーケットには、ティアンオップ (เทียนอบ) なる処理を施したココナッツミルクが売っています。香りの成分を蜜蝋で固めたローソクの火を消した後の煙の香りを移したココナッツミルク。ガティオップクワンティアン (กะทิอบควันเทียน) と呼ばれています。主にデザートを作る時に使われるのですよ。
ティアンオップに興味のある方は、以下を読んでみてください。
ところで、ココナッツミルクを搾るためのココナッツの果肉は、白色でゴムのような硬さがあります。しかし、フワッとした柔らかい食感で口の中でガティのようになるココナッツがあるのです。マプラーオガティ (มะพร้าวกะทิ) と言います。興味のある方は、以下も読んでみてください。