カオマンガイ (ข้าวมันไก่) のカオ (ข้าว) は「ご飯」、マン (มัน) は「油/脂肪」、ガイ (ไก่) は「鶏」のこと。中華の海南料理である文昌鶏/海南鶏飯が源流の料理です。
カオマンガイのかけダレをナムチムカオマンガイ (น้ำจิ้มข้าวมันไก่) と言います。大豆を原料にした発酵食品でとろりとしたタイの味噌、タオチオ (เต้าเจี้ยว) をベースにみじん切りのショウガ、ニンニク、唐辛子、甘い黒醤油、マナーオの絞り汁などを混ぜ合わせ、塩や砂糖で味を調整して作ります。このかけダレがカオマンガイの醍醐味。ところで、シンガポールの海南鶏飯は有名ですよね。シンガポールでタイのカオマンガイと比べたくて食べたことがありますが、かけダレが違います。かつて、バンコク繁華街のとある「シンガポールの海南鶏飯」と書いてあるレストランで海南鶏飯を注文したことがあるのですが、完全にタイのカオマンガイのかけダレでした。やはり、タイ人にはカオマンガイのかけダレに軍配があがってしまうのです。55555 ...
カオマンガイは、茹でた鶏のガイトム (ไก่ต้ม) と鶏の唐揚げのガイトート (ไก่ทอด) が選べることにも魅力を感じます。ハーフアンドハーフも可能です。なお、ガイトート用のつけダレに、甘いナムチムガイ (น้ำจิ้มไก่) を用意する店もあります。ナムチムガイとは「スイートチリソース」です。
カオマンガイのタレを自分で選ぶシステムの店もあります。左からナムチムカオマンガイ、ナムチムガイ、黒蜜が入っている甘く、とろみのある黒醤油。シーユーダムワーン (ซีอิ้วดำหวาน) やシーユーワーン (ซีอิ้วหวาน) と言います。シーユー (ซีอิ๊ว) とは「醤油」、ダム (ดำ) とは「黒」、ワーン (หวาน) とは「甘い」の意味です。
鶏の唐揚げのガイトートは、大きくハズレることはないと思いますが、茹でた鶏のガイトムは、好み(ハズレ)があるかもしれませんね。例えば、放し飼いの地鶏や軍鶏なら身質がしまっているので硬いと感じるかもしれません。普通の鶏の方が、油が乗っていてジューシーかも ... ですよね。私のハズレは、水っぽいガイトムです。かつて、バンコクにある有名人気店のガイトムがあまりにも水っぽいので驚いた経験があります。好みもあるとは思いますが ...
店によっては、鶏の血豆腐のルアットガイ (เลือดไก่) がトッピング。付ける店も多いですよ。
ところで、カオマンガイのご飯を、カオマン (ข้าวมัน) と言います。カオマンとは「油飯」の意味。鶏の皮などから取った鶏油でショウガやニンニクなどの香味野菜と一緒に炒めた生米を鶏の茹で汁や鶏ガラのスープで炊いて作る中華風炊き込みご飯(鶏油飯)です。なお、古米を使うと味が染みやすく、米が壊れにくいとのこと。何よりもこのカオマンの仕上がりにこだわるタイ人が多いらしい。
こだわりのある店のカオマンは、一粒一粒が輝いていてお米が立っています。まったくベタベタ感がなく、多少硬めかもしれませんね。カオマンを気にして味わってみるのも面白いですよ。
鶏の茹で汁や鶏ガラのスープは、料理と一緒に出てくるスープにも使われます。
カオマンガイの屋台や専門店はバンコクなら至る所にあります。日本の町の中華屋さんのように ... 屋台からフードコート、レストランに至るまでどこでも気軽に食べることができますよ。
以下の写真は、カオマンガイの店先のショーケースに吊るしてある茹でた丸鶏です。茹でた丸鶏があればカオマンガイの店なのです。
以下の写真は、カオマンガイに乗せる茹でた鶏の様子。
そうそう、鶏肉だけの皿盛りとカオマン(鶏油飯)を分けて注文できる専門店もあります。家族や友人で皿盛りの鶏肉をシェアしたり、ビールのつまみにしたり ... なお、普通の白いご飯のカオスワイ (ข้าวสวย) もあったり ... タイ人が愛してやまないカオマンガイ。お客がいる屋台や専門店をのぞいてみてください。きっと、美味しいカオマンガイに出会えるはずです。
カオマンガイの専門店と屋台の話
とあるカオマンガイの専門店と近所のカオマンガイ屋台を例にカオマンガイを見てみましょう ...
以下の写真は、カオマンガイの専門店で私がオーダーしたガイトートとガイトムのハーフアンドハーフのカオマンガイ。付け合わせの野菜は、定番のキュウリとパクチー。
以下の写真は、嫁がオーダーしたガイトートと豚の喉元の肉を焼いたコームーヤーン (คอหมูย่าง) のハーフアンドハーフのカオマンガイ。さらに、この店ではカリカリに揚げた豚の三枚肉のムークロープ (หมูกรอบ) も選べるのですよ。驚きますね。55555 ...
この店は選んだ肉料理毎にタレが用意されるのです。コームーヤーンにはナンプラープリック (น้ำปลาพริก)、ガイトートには甘いナムチムガイ (น้ำจิ้มไก่)、そして、ガイトムにはナムチムカオマンガイ (น้ำจิ้มข้าวมันไก่) が ...
以下の写真が茹でた鶏のガイトム用のナムチムカオマンガイ。一般的なカオマンガイのタレです。このタレが店によって味が違います。非常に好みの分かれるところですね。ショウガが強すぎたり、辛すぎたり ... 刻んだショウガや唐辛子を追加用のトッピングとして用意している店もあります。
もし、ナムチムカオマンガイの味が合わない場合にはテーブルに置いてあるシーユーダムワーンを足してみてください。カオマンガイの店には必ずあります。辛いものが食べれない子供もこのタレを使います。
この店のスープの具は、定番の冬瓜と鶏ガラとパクチーの根。専門店だと鶏ガラが入っているのが嬉しいですね。屋台やフードコートの場合だと具無しのスープもあります。55555 ...
以下の写真は、屋台のカオマンガイの様子。屋台でも美味しい店がたくさんあるのがバンコク。我が家の近所にも美味しいカオマンガイの屋台があり、非常に重宝しています。
この屋台には、刻んだショウガと唐辛子をタレのトッピングとして用意しています。必要があれば、タレの中に入れて使います。
なお、カオマンガイは持ち帰りも可能です。
以下の写真が、近所のカオマンガイ屋台のテイクアウトの様子。カオマンガイ、スープ、ナムチムカオマンガイがセットになってます。
今でも汁系じゃない料理屋台のテイクアウトは紙包みが多いです。この包み紙を広げるだけで大きなお皿になるし、お皿に移し替える時も作業が楽ですね。プラ容器や発泡容器入りより良いかもしれません。
こぼれ話
高級カオマンガイを食べてみたいなら、シーロムのスラウォン通りとラマ4世通りに挟まれた場所にあるモンティエンホテル1階の「ルエントン (Ruenton)」のカオマンガイ。老舗ホテルのレストランで、昔からカオマンガイが有名です。私が初めてここのカオマンガイを食べたのは十数年前だろうか? 当時は、屋台のカオマンガイの十倍ほどの料金だったような記憶があります。現在はメニュー価格が 340バーツだと思いますので、込み込みで 400バーツ程になりますね。屋台のカオマンガイがバンコクで 50 〜 60バーツ、ちょっと高い専門店で 80バーツなので高級カオマンガイですよね。
BTS サラデーン (Sala Daeng) 駅からタニヤ通りを抜けて直ぐです。ラマ4世通りの MRT サームヤーン (Sam Yan) 駅からも直ぐです。モンティエンは、最近大改装して綺麗になりました。ここのカオマンガイのガイトムはボリューム満点、一度お試しください。
タイには、別なスタイルの鶏の炊き込みご飯があります。そして、カオマンガイと同じように茹でた鶏と鶏の唐揚げの両方のタイプがあるのです。カオモックガイ (ข้าวหมกไก่) と言います。