先日のこと、久々にマーブンクロンセンター (MBK) の4階にあるカノムブアン (ขนมเบื้อง) の店へ。そこは、カノムブアンの店が軒を並べて競い合っている場所なのです。この場所は昔からあり、MBK では有名なエリアなのです。
カノムブアンの源流はスコータイ時代にあるようです。時代の流れでレシピの変化はありながらも今に至っている歴史のあるタイ菓子なのです。現在のカノムブアンは、鉄板で薄焼きスタイルのカリカリのクレープまたはワッフルのような生地を焼き、甘〜いメレンゲとトッピングを乗せたスタイルが一般的。MBK では、値上がりして現在1個 12バーツ。紙袋に詰めて貰えるので、1個でも買えますよ。
カノムブアンの生地やメレンゲは、店毎に工夫をこらして違いを出しているのが面白いですよ。
以下の写真の店には、メレンゲの色違いがありますね。まるで、風月堂のゴーフルのようです。
カノムブアンの上に乗っている黄色のトッピングは、卵黄から作ったタイの伝統菓子のフォイトーン。フォイトーンは、一般的には黄色なのですが、緑色のフォイトーンも用意しています。
下の写真の店のカノムブアンには、メレンゲがありません。カノムブアン・ボーラーンと呼ばれています。ボーラーン (โบราณ) とは「昔ながら/古代」の意味です。と言うことは、昔のスタイルにはメレンゲが使われていなかったと想像ができます。さらに、この写真で注目する点は、黄色いトッピングと赤いトッピングがあること。黄色い方はカノムブアン・ワーン (ขนมเบื้องหวาน)、赤い方はカノムブアン・ケム (ขนมเบื้องเค็ม) と呼ばれています。ワーン (หวาน) は「甘い」、ケム (เค็ม) は「塩っぱい」の意味。
さてさて、
このカノムブアン・ケムの赤い色のトッピングの正体ですが、一般的には、細かく砕いたココナッツの果肉、クロックで潰した干しアミエビ、ニンニク、コショウ、パクチーの根、そして砂糖と少々の塩で味付けし、赤色に着色した詰め物なのですよ。作り手のレシピ次第とは思いますが、塩っけは感じますが、やはり甘い場合が多いと思います。55555 ...
カノムブアン・ワーンの黄色や緑色のトッピングの正体は、甘〜いタイの伝統菓子のフォイトーン。
フォイトーンは、卵黄から作るので通常は黄色なのですが、緑色はパンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁や着色料で緑色に色付けしているのです。フォイトーン・バイトゥーイ (ฝอยทองใบเตย) と言います。
以下の写真は、メレンゲのある「ワーン」と「ケム」のハーフアンドハーフのカノムブアン。ケム側には野菜が乗っています。55555 ...
カノムブアンの生地の話
作り手のレシピ次第ではありますが、米粉や緑豆粉、小麦粉などの澱粉と卵の黄身、砂糖で捏ねた生地は、クレープの生地の作り方に近いと思います。その生地を楕円形に薄く伸ばして鉄板で焼くのですが... タイには、カリカリに焼き上げるための魔法の水があるのです。その魔法の水をナムプーンサイと言います。生地を捏ねる時にはナムプーンサイを使うのですよ。
カノムブアンは、街中の屋台やフードフェスなどでも簡単に見つけることができますが、マーブンクロンセンター (MBK) に行く機会があったら、いろいろなタイプのカノムブアンに挑戦してみてください。
なお、MBK のカノムブアンは、普通の屋台で売っているカノムブアンより一回り大きいですよ。
ところで、
4階のカノムブアンのエリアですが、昔は田舎から MBK に遊びに来たのであろうタイ人の若者で溢れていたイメージがありましたが、時の流れでしょうか?昔のような賑わいはないでようです。タイ人のお菓子やデザート感、そして流行りのデザートショップが、ここ 10年程で完全に様変わりしてるのです。
こぼれ話
タイには、カノムブアン・ユアン (ขนมเบื้องญวน) と呼ばれている料理があります。この料理は、ベトナム料理の「バインセオ」が源流の料理。 お菓子のカノムブアンと料理のカノムブアン・ユアンとは、まったく別な食べ物。