タイのお菓子 カノムピアックプーン プーンって何?

カノムピアックプーンのアイキャッチ タイのお菓子

カノムピアックプーン (ขนมเปียกปูน) を紹介します。
カノム (ขนม) は「お菓子」、ピアック (เปียก) は「濡れている/ウェット」、プーン (ปูน) は「漆喰/石灰/セメント」の意味。乾く前の漆喰のようなお菓子と言う意味なのだろうか?カノムピアックプーンは「ういろう」のようなイメージと食感のお菓子なのです。どちらかと言えば甘さは控えめです。緑色のカノムピアックプーンもありますが、伝統的なカノムピアックプーンは黒色です。黒色のカノムピアックプーンは、焦げた風味があるのですが、私はそれが好きかも。黒色なのでカノムピアックプーン・ダムと言います。ダム (ดำ) は「黒」の意味。私の好きなタイ菓子の一つです。

この黒い色は、椰子の葉や椰子の実の繊維を焼いて作った黒い灰の色とのこと。この黒い灰を水に入れて作った灰汁と米粉と砂糖を適度な硬さになるまで撹拌しながら煮詰めます。一般的には大きなバット型に流し入れて、固まった後に小さく切り分る工程で作ります。この黒い灰汁はアルカリ性なのです。澱粉にアルカリ性を加えると糊化が進むらしい。作り手によりタピオカ粉やココナッツミルクを入れるようですが、一般的には強力なアルカリ性であるナムプーンサイ (น้ำปูนใส) なる不思議な水も使います。得体の知れないプーンデーン (ปูนแดง) を水に溶いた上澄みのこと。このナムプーンサイを使うことで、さらに、もちもちした弾力を生むのだろうと思われます。ナムプーンサイは後述

カノムピアックプーン・ダム
カノムピアックプーン・ダム

なお、緑色のカノムピアックプーンは、黒い灰汁の代わりにパンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁を使います。正確に区別するならカノムピアックプーン・バイトゥーイでしょう。青色のチョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁を使えば、カノムピアックプーン・アンチャン。どちらも黒より見た目が良いですね。55555 ...

以下の写真は、お菓子屋台のカノムピアックプーン・ダムとカノムピアックプーン・バイトゥーイの様子。

緑色のカノムピアックプーン・バイトゥーイ
緑色のカノムピアックプーン・バイトゥーイ
バナナの葉で包んだカノムピアックプーン
バナナの葉で包んだカノムピアックプーン

最近はシリコン製の可愛らしいお菓子用の型もあるので、いろいろな形のカノムピアックプーンもあるらしい。蒸す工程がないので一人分のプラ容器に流し入れて売っているお店もあるようです。一寸見、カノムチャンと見分けが付かなくなりそうです。カノムチャンは、タピオカ粉をベースにした生地を蒸し上げて作るお菓子です。
以下の写真もカノムピアックプーン・バイトゥーイなのですよ。

カノムピアックプーン・バイトゥーイ
カノムピアックプーン・バイトゥーイ

カノムピアックプーン・ダム、貴方も一度、お試しあれ!!

ところで、最近見かける機会が増えたのが、カノムピアックプーン・ガティソット (ขนมเปียกปูนกะทิสด) と言う白いクリームが乗った緑色のカノムピアックプーン。この白いクリームの正体は、ココナッツミルクに米粉と少々の塩を加えてクリーム状になるまで煮詰めたの。ガティソット (กะทิสด) とは「新鮮なココナッツミルク」の意味なのです。
以下の写真が、カノムピアックプーン・ガティソット。一人分のプラ容器に緑色のカノムピアックプーンを流し入れた後に、ココナッツクリームを注ぎ入れて完成です。ココナッツクリームを小袋や別容器に入れて、分ける店もあります。

カノムピアックプーン・ガティソット
カノムピアックプーン・ガティソット

プーンデーン (ปูนแดง) とナムプーンサイ (น้ำปูนใส) とは
石灰岩 (ヒンプーン:หินปูน) から作った生石灰とカレー粉の黄色の成分であるターメリック (カミン:ขมิ้น) を水で撹拌し、乾燥させてペース状にしたものがプーンデーンです。黄色のターメリックはアルカリで処理すると赤色に変わる性質があります。とのことで、プーンデーンとは石灰とターメリックの混合物なのです。容器にプーンデーンと水を注いで撹拌し放置した後の透明になった上澄み液がナムプーンサイです。アルカリ性の石灰水なのです。作り方の目安は1リットルの水に対してスプーン大さじ1らしい。プーンデーン、または ナムプーンサイは、タラート、ないしは通販でなら買うことができます。

タラートのプーンデーン(下)
ペットボトル入りのナムプーンサイ(上)
タラートのプーンデーン(下)
ペットボトル入りのナムプーンサイ(上)

煮物や蒸し物の食材をナムプーンサイに浸すことで型崩れ防止になったり、揚げバナナなどの揚げ物の衣に入れることで衣のサクサク感を出したり、果物や肉を浸すことで食品の腐敗を防いでくれたりとタイでは重宝されているようです。日本ではコンニャクを作る時に石灰が使わていますよね。私が初めてプーンデーンの存在を知ったのは十年以上前になると思いますが、嫁の友人が作ったカボチャ料理を食べた時です。表面は硬いのですが中はホクホクなのです。作り方を尋ねたところプーンデーンを使っているとのこと。当時プーンデーンの実物を見て驚いたものです。

以下に DenverThaiTV のプーンデーンの作り方の動画を貼っておきますので、興味のある方はご覧ください。
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=EFPUM4mIQ0o