フアプリー (หัวปลี) とは「バナナのつぼみ」のこと。フア (หัว) とは「頭」、プリー (ปลี) は「バナナの花」の意味なので、フアプリーとは「バナナの花の頭」の意味になりますね。なお、プリークルアイ (ปลีกล้วย) でも通じます。クルアイ (กล้วย) とは「バナナ」のことなので「バナナの花」の意味。フアプリーは食べることができるのですが、一般的に食用に使われるのはクルアイナムワー (กล้วยน้ำว้า) なる品種。えぐみや渋味が少ない上に食感が柔らかいからです。バナナの唐揚げのクルアイトートやカオトムマットに使われている品種です。食用には適さない品種も多いのですよ。

バナナ農園では、良質なバナナを収穫するために適切なタイミングでフアプリーを切り落とす作業があるとのこと。その切り落としたフアプリーの中で、大きくて品質の良い物がタラートの八百屋やスーパーマーケットの野菜コーナーで売っているのです。生のままでも食べることができます。赤紫の皮を一枚一枚剥いていくと黄色い皮が現れます。たぶん半分程度の大きさに小さくなりますが、この黄色い皮を食べるのです。


生のフアプリーでよく目にするのがパッタイの付け合わせ。油っこくて甘ったるいパッタイの口直しとして良い仕事をします。シャキとした食感があり、渋味で口の中がスッキリします。


なお、皮の間には小さなバナナがありますが普通は食べません。何故って? 美味しくないからです。

以下の写真は、テイクアウト専用のパッタイ屋台に用意されている付け合わせのフアプリーの様子。フアプリーはアクが強く切り口が直ぐに茶色に変色するので、変色防止のため塩やマナーオの搾り汁を入れた水に浸してあります。常識の範囲で、もやし、ニラ、マナーオなどと共にビニール袋に詰めてテイクアウトができるのですよ。


以下の写真は、変色防止が上手でないために変色したフアプリーの様子。切り口が茶色に変色していますが、食べても問題ありません。

以下の写真は、カノムジーン屋台の付け合わせの生野菜の中のフアプリーの様子。千切りにした生のフアプリーを用意している屋台もあるのです。カノムジーンナムヤー (ขนมจีนน้ำยา) のようなココナッツミルクを使った甘味のあるスープによく合いますね。


その他にも生のフアプリーを使った料理には、サラダ系のヤムフアプリー (ยำหัวปลี) があります。エビや鶏肉を合わせることが多いと思います。以下は、ウィチット ムクラ シェフが作るエビと鶏肉のヤムフアプリーの作り方の動画です。フアプリーの処理の仕方も分かります。興味のある方は参考まで ...
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=uwE9HkcuY74
なお、フアプリーを塩茹でする食べ方もあります。
以下の写真は、ナムプリックと茹で野菜を売っている屋台の様子。ナムプリックパットム (น้ำพริกผักต้ม) と言います。ナムプリック (น้ำพริก) とは「唐辛子ベースのつけダレ/ディップ」、パッ(ク)/パッ (ผัก) は「野菜」、トム (ต้ม) は「煮る/茹でる」の意味。この屋台には茹でたフアプリーが並んでいることがあります。皮の間に若いバナナがあると思いますが、茹でてあるのでえぐみが抜けています。食べれそうなら食べてみてください。なお、人気のあるナムプリックはナムプリックガピ (น้ำพริกกะปิ) でしょう。

他にスープに入れる食べ方があります。フアプリーを使ったスープやカレーの総称をゲーンフアプリー (แกงหัวปลี) と言います。ゲーン (แกง) とは「カレー/煮物系スープ」のこと。基本的に家庭料理なので味付けや中に入れる具材は様々でしょう。そうそう、フアプリーを入れたトムカーガイもありますよ。トムカーガイフアプリー (ต้มข่าไก่หัวปลี) と言います。トムカーガイにはいろいろなスタイルがあるのです。フアプリー入りのトムカーガイに挑戦するのも面白いかもしれませんよ。
ところで、フアプリーには鉄分が豊富に含まれているので貧血を防ぐ効果があるとのこと。他にも健康に役立つミネラルやビタミンを豊富に含んでいるので、最近は健康食品として人気が出てきたらしい。なお、タイでは昔から産後の女性がフアプリーを食べると母乳の出がよくなると言われています。