ココナッツジュースは、タイ語でナームマプラーオ (น้ำมะพร้าว) と言います。ナーム (น้ำ) は「水」、マプラーオ (มะพร้าว) は「ココナッツ」のこと。英語表記は、一般的にココナッツウォーター (Coconut water) です。ココナッツジュースとは、ヤングココナッツの中に蓄えられている「水」のこと。熟するにつれ徐々に果肉は厚くなり水は無くなるのですよ。ちなみに、ヤングココナッツはマプラーオオーン (มะพร้าวอ่อน)、熟したココナッツはマプラーオゲー (มะพร้าวแก่) と言います。
街中ではヤングココナッツを並べてココナッツジュースを売っている屋台を見かけることがあります。ココナッツの頭を蓋を開けるようにカットしてストローを差入れたり、ビニール袋やプラ容器に移し替えたりと売り方も様々です。事前にビニール袋やプラ容器に入れて冷やしたものを用意している屋台もあります。なお、削り取った果肉が入っていることが多いかもしれませんね。
観光客が多いエリアだと値段が高いのですが、ちょっと外れるとトラックにヤングココナッツを積んで売っている屋台もまだまだ健在です。
以下の写真は、トラック売りのヤングココナッツ屋台の様子。この屋台の販売システムを紹介しましょう。看板に書いてある意味は、頭とお尻をカットした状態のココナッツ1個 20バーツ、ココナッツ 10個 200バーツ、袋入りは3袋 50バーツ。ビニール袋に入れたココナッツジュースも売っているのです。なお、ディスカウント時は 11〜12個 200バーツなどに表示が変わります。ココナッツの状態で買い求める客もたくさんいます。自宅に持ち帰って自分でカットするのでしょう。
私も自分でカットする客の一人。自宅に持ち帰り冷蔵庫で冷やしてからカットします。ジュースを飲んだ後に果肉をスプーンですくい取って食べるのが至福の時なのですよ。
以下の写真は、ココナッツジュースをコップに移した様子。もちろん完全100%のジュース。なお、ジューススタンドなどで売っているココナッツジュースは、水と砂糖を加えたものもあるので注意が必要ですよ。
収穫時期でジュースの風味や果肉の厚み/硬さに違いがあります。以下の写真は、収穫時期が早いので薄く柔らかい果肉です。ただし、個体によってはジュースに多少の青臭さを感じることがあります。
以下の写真は、収穫時期が遅いので果肉に多少の厚みがあり硬さもありますが、ジュースの甘味は増しています。果肉の食べごたえもあり満腹感も得られます。
なお、果肉が剥がれ難い場合には、ステンレス製のレンゲの反対側を利用すると力が入るので取りやすいと思いますよ。
以下の写真は、ヤングココナッツを丸ごと火の中に放り込み、黒く焦げた皮を取り除いて中身だけを残したスタイル。マプラーオパオ (มะพร้าวเผา) と言います。パオ (เผา) とは「強火で焼く/燃やす」の意味。八百屋や街中の屋台のちょっとしたスペースに置いてあることが多いかもしれませんね。
パオすることで、ココナッツジュースに甘味と風味が加わります。果肉は殻から簡単に剥がれるようになるので食べやすくなります。なお、焦げ跡が残っているものは、香ばしい風味が強いことがあります。マプラーオパオはテイクアウトも楽だし、冷蔵庫で直ぐに冷えるし、カットするのも簡単。マプラーオパオのファンも多いのですよ。
以下は、タイ公共放送 (Thai PBS) のマプラーオパオの製作風景の動画。興味のある方、参考まで。
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=JRbt2aG55VE
ところで ...
以下の写真は、スーパーマーケットで売っているヤングココナッツの様子。最近、見かけることが多くなりました。値段が高いので驚きますよね。
以下の写真はプライスカードなのですが、タイ語でマプラーオナームホーム (มะพร้าวน้ำหอม)、英語で Aromatic Coconut と書いてあります。直訳すると「良い香りの水のココナッツ」、ココナッツジュースに香りがある品種です。一般的には「パンダンの葉」の香りと言われています。マプラーオナームホームに対して、香りのないものをマプラーオナームワーン (มะพร้าวน้ำหวาน) と呼ぶことがあります。ホーム (หอม) は「良い香り」、ワーン (หวาน) は「甘い」の意味。
マプラーオナームホームには、ソムオーやサパロットなどと同じようにGI (Geographical Indication) 認定の地域ブランドがあります。
以下の写真のプライスカードには、マプラーオナームホーム・バーンクラー (มะพร้าวน้ำหอมบางคล้า) と書いてあります。チャチューンサオ県のGI認定のブランドです。
以下の写真は、Aromatic Farm で生産されたマプラーオナームホーム・ラーチャブリー (มะพร้าวน้ำหอมราชบุรี) です。ラーチャブリー県のGI認定のブランドです。
他にも、サムットサーコーン県のマプラーオナームホーム・バーンペーオ (มะพร้าวน้ำหอมบ้านแพ้ว) もあります。GIに興味のある方は、タイ国政府観光庁 (TAT) 「amazing THAILAND」の以下の URL を参照願います。https://www.thailandtravel.or.jp/gi-product/
以下の写真は、最近見かけることが増えているオープナーとストローが付いているスタイル。説明書きがありますが、頭の丸いオープナーに付いているストッパーを外して、上から叩くとオープナーがココナッツに突き刺さります。上部のカバーシートを剥ぎ取ると穴が開いているので、付属のストローを差し入れて飲むのです。面白いアイディアでが、ココナッツを開かないと果肉は食べれません。
ナームマプラーオには、ビタミンB1、B2、B3、B6、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、鉄、アミノ酸、良質なタンパク質などが含まれているとのことで、毎日飲んでいる方もいるらしい。ヤングココナッツ屋台のナームマプラーオをまだ飲んだことの無い方は、一度挑戦してみてください。私は香りのない庶民的な価格のマプラーオナームでも十分美味しいと思いますよ。
そうそう、スーパーマーケットには、たくさんの種類のナームマプラーオ (Coconut water) が並んでいます。ブランドが違うと甘味や風味も違います。
こぼれ話
タイには、交配種を含めて80種ほどの品種があるとのこと。生産効率や用途/目的にあった品種改良が行われているのでしょう。熟したココナッツの果肉はデザートや料理に利用されますが、ココナッツミルクやココナッツオイルの原料にもなります。さらには、果皮繊維や殻などもいろいろなものに加工されています。また、花の蜜からはココナッツシュガーが作られます。そして、ヤングココナッツからはココナッツジュースが取れるのですが、前述の地域ブランド品はココナッツジュースに特化した品種なのです。
ところで、フワッとした柔らかいココナッツの果肉が取れる品種もあるのですよ。興味のある方は、以下も読んでみてください。