クローンクレーンガティ (ครองแครงกะทิ) とは、タピオカ粉で作ったクローンクレーン (ครองแครง) なる面白い形の団子を砂糖入りの甘いココナッツミルクでいただくデザートです。クローンクレーンナムガティ (ครองแครงน้ำกะทิ) とも言います。クローンクレーンガティは、タイの伝統的なココナッツミルクのデザートの一つです。
日本の「おしるこ」は、小豆や小豆餡を甘く煮た汁の中に、白玉粉や上新粉、片栗粉などで作った「団子」や「餅」を入れて「〇〇のおしるこ」ですよね。
タイでは、ココナッツミルク (ガティ:กะทิ) にパームシュガーやグラニュー糖、香付けのパンダンの葉を入れて作った甘い汁をナムガティ (น้ำกะทิ) 言い、ナムガティの中に、米粉、もち米粉、タピオカ粉など、またはそれらを混ぜ合わせた材料で作ったいろいろな形と色の団子を入れて「〇〇ガティ」や「〇〇ナムガティ」となるのです。その団子の一つに「クローンクレーン」があるのです。
クローンクレーンは、表面に筋があり、丸まっている変わった形をしています。お湯で捏ねたタピオカ粉 (ペンマン:แป้งมัน) の生地を小さく丸めて筋入れ専用道具の上で押し潰してクルッと巻いてクローンクレーンの生地を作るのです。ショートパスタのコンキリエ(貝殻の形)はソースとよく絡むといわれているように、ナムガティがよく絡むかもしれないですね。
以下の写真が筋入れ専用道具です。ティータムクローンクレーン (ที่ทำ ครองแครง) で検索するとヒットします。和菓子道具の「千筋板」に相当するものでしょう。
かつては、この筋入れのためにホイクレーン (หอยแครง) なる貝の貝殻を使っていたので、クローンクレーンの名前の由来になっているらしい。シーフードレストランや屋台には、炭火焼きスタイルや茹でスタイルのメニューがあるのでご存知の方も多いのでは ... 「ホイクレーン・ルアック」参照のこと。
さてさて ...
筋入れしたクローンクレーンの生地を別鍋で茹でて、温かいナムガティの鍋に合わせて茹で直したらクローンクレーンガティの完成です。なお、白ごまを入れることがポイント。さらに、いくつかのトッピングを入れることもあります。
以下の写真は、我が家の嫁がデザート屋台で買ってきた袋入りのクローンクレーンガティの様子。
早速、器に移してレンジでチン。クローンクレーンガティは温かい甘いココナッツミルクて食べるデザートなのです。銀杏、タロイモ、金時豆、ルークチット、白ごまのトッピングが入っていました。
以下の写真のクローンクレーンは薄い青い色ですが、いろいろな色があります。天然素材の着色料に限らず、人工的な着色料を使っている場合もあるようです。例えば、天然素材ならチョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁からは綺麗な青色が作れます。
以下の写真は、着色無しのクローンクレーンとグラニュー糖を使った白色のナムガティのクローンクレーンガティ。上品な感じの仕上りかな?
クローンクレーンは、タピオカ粉ベースなのでもっちり感ありますが、筋が入っているので簡単に噛み切れます。ここが、同じ材料から作ったボール状のタピオカパールとの違いでしょう。ひと手間かけたタピオカパールとも言えそうです。
味と食感は想像通りですが、素朴なデザートも美味しいものです。
そうそう、似たような温かいココナッツミルクのデザートに、ブアローイ (บัวลอย) があります。また、冷たいココナッツミルクのデザートに、ロートチョンナムガティ (ลอดช่องน้ำกะทิ) があります。タイには「おしるこ」の団子に相当するモノがたくさんありますね。
こぼれ話
クローンクレーン・グロープ (ครองแครงกรอบ) なるお菓子もあります。グロープとは (กรอบ) とは、食べ物に付く場合は「カリカリ感/クリスピー感」の意味になります。ティータムクローンクレーンで筋入れしながら平たく延ばした生地を油で揚げ、さらに糖衣がけして作ります。タイ風かりんとうですね。たぶん、気にしてみれば、いろいろな所で売っていると思いますよ。
日本のかりんとうとの大きな違いは ... 作り手による違いもあると思われますが、糖衣の中にニンニクやら唐辛子やらコショウやらを入れること。甘いだけではないのですね。