タイのお菓子 カノムタゴー

カノムタゴー タイのお菓子

カノムタゴー (ขนมตะโก้) とは、ざっくり言えば、ココナッツミルクから作った白いココナッツクリームと一緒に食べる「ういろう」または「プディング」のようなお菓子です。カノム (ขนม) とは「お菓子」の意味。タゴー (ตะโก้) とは、マレーシアの「Kuih Tako」なるお菓子が源流だからなのです。

マレーシアの「Kuih Tako」のオリジナルレシピは、緑豆粉 (ペントゥアキアオ:แป้งถั่วเขียว) に水と砂糖を加えて適度な硬さになるまで撹拌しながら煮詰めます。その生地をパンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) で作った器に流し入れ、その上に、ココナッツミルクに緑豆粉と砂糖、少々の塩を加えてクリーム状になるまで煮詰めたココナッツクリームを注ぎ入れて完成。冷めれば固まります。生地にの中にコーンや蒸したタロイモ、紫芋、カボチャなどを練り込んだり、パンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の絞り汁を加えて緑色に色付けするタイプもあります。

蒸したタロイモ入りのカノムタゴー
蒸したタロイモ入りのカノムタゴー

さて、タイのカノムタゴーは、マレーシアのレシピに沿った緑豆粉タイプと、緑豆粉を米粉に替えた米粉タイプがあるのですが、たぶん、主に米粉を使う米粉タイプが多いと思います。
以下の写真は、パック詰めにして売っているお菓子屋台の様子。コーンが乗っていればコーン入り、ココナッツの果肉が乗っていればココナッツの果肉入り。何も乗っていなければ、何も入っていないプレーンかも?

パック詰めにして売っているカノムタゴー
パック詰めにして売っているカノムタゴー

以下の写真は、一つづつ袋詰めにして売っているお菓子屋台の様子。この屋台は、プラ容器入りで蒸したタロイモ入りのカノムタゴーしか扱っていないのです。1個でも買えます。1個 10バーツ也。

一つづつ袋詰めにして売っているカノムタゴー
一つづつ袋詰めにして売っているカノムタゴー
「ういろう」のようなカノムタゴーの様子
ういろう」のようなカノムタゴーの様子

以下の写真は、複数種のタイプのカノムタゴーを扱っている店の様子。練り込んである材料を上にトッピングとして乗せることで、中身が分かる工夫をしているのです。店側が決めた数だけ買い手側が選べるスタイルです。例えば、2個または4個で〇〇バーツ。

カノムタゴー
カノムタゴーの中身が分かる工夫をしてある様子

なお、タピオカ粉 (ペンマン:แป้งมัน) を加えたりするレシピもあります。作り手のレシピで、緑豆粉、米粉、タピオカ粉などの澱粉を適度に混ぜて作るのでしょう。
さらに、これらの澱粉を完全にタピオカ粉から作ったタピオカパールに置き換えたスタイルもあります。一般的にはタピオカパールに色付けしていることが多いですね。このタピオカパールのスタイルは、タゴーサークー (ตะโก้สาคู) と呼ぶことも。タピオカパールのつぶつぶの食感を楽しむスタイルでしょう。なお、何故にタピオカパールをサークーと呼ぶのか? 興味のある方は「タイのカイムックとサークー (タピオカパールとサゴパール) 備忘録」を参照願います。

以下の写真の右のコーンが乗っている緑色のスタイルは、パンダンの葉の絞り汁で色付けしたタゴーサークー、赤色のスタイルは、タピオカ粉とへーオから作ったタプティムグロープを用いたカノムタゴー、左の緑色のスタイルは、定番のパンダンの葉の絞り汁で色付けした何も入っていないプレーンなカノムタゴーで、カノムタゴー・バイトゥーイと言います。表面全体をココナッツクリームで覆い尽くさないことで、中身の判別が可能な上に、見栄えも良いですよね。このようなタイプは、器の底にココナッツクリームが入っていると思いますよ。

カノムタゴー
サークーやタプティムグロープのカノムタゴー他

以下の写真は、チョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁で色付けした青色のカノムタゴー。薄くスライスしたココナッツの果肉が確認できると思います。

カノムタゴー
チョウマメの青色のカノムタゴー(ココナッツの果肉)

カノムタゴーは、生地に練り込む材料、上に乗せるトッピングは作り手次第でバリエーションが豊富です。日本の上新粉系のお菓子ように、型に入れて蒸したり、団子にして茹でたりする工程がない非常に簡単レシピのお菓子です。なお、塩味があるココナッツクリームは、日本の「みたらし」に相当するのかな?とも思ったり。55555 ...

そうそう、パンダンの葉で作った器では、どうしてもサイズが小さ目、バナナの葉で作った大き目の器やプラ容器に入れたカノムタゴーもあります。
フードフェスなどでは、色とりどりでたくさんの種類のカノムタゴーを用意する店もありますので、目でも楽しめるデザートです。機会があっらた挑戦してみてください。

追記
以下の写真には、タゴーへーオ (ตะโก้แห้ว) と書いてあるのです。ヘーオとは「黒慈姑:クログワイ」のこと。このタゴーはバナナの葉で包んであるのですよ。

タゴーへーオ
バナナの葉で包んであるタゴーへーオ

何と ... このタゴーは2層に分かれていないのですが、非常に美味しいへーオ入りのタゴーでした。

バナナの葉を開いたタゴーへーオの様子
バナナの葉を開いたタゴーへーオの様子

こぼれ話
タイには、カノムタゴーと同じように米粉を使い、同じような手順で作るお菓子があります。カノムピアックプーン (ขนมเปียกปูน) と言うお菓子です。カノムピアックプーンには、アルカリ性のナムプーンサイ (น้ำปูนใส) なる不思議な水が使われます。もし、このナムプーンサイを使わずに作ると、もっちり感が弱い「カノムプアックオーン (ขนมเปียกอ่อน)」と呼ばれるタイプになるのでが、これは、米粉で作ったプレーンなういろうのようなカノムタゴーと同じですね。最近、カノムピアックプーン・ガティソット (ขนมเปียกปูนกะทิสด) と言う白いココナッツクリームが乗った緑色のカノムピアックプーンを見かける機会が増えたと感じます。もし、カノムピアックオーン・ガティソットなら、カノムタゴー・バイトゥーイと同じかな?
興味のある方、以下、参考まで。。。