タイの伝統菓子 カノムトム(細く削ったココナッツ果肉の団子)

カノムトム タイのお菓子

カノムトム (ขนมต้ม) のカノム (ขนม) は「お菓子」、トム (ต้ม) は「煮る」の意味。タイを代表するココナッツを使った伝統菓子の一つです。細く削ったココナッツの果肉(ココナッツロング)をパームシュガーで煮詰めた餡をもち米とココナッツミルクを捏ねた皮で包んで団子にしてからお湯で茹でます。さらに、茹で上がった団子にココナッツロングを絡めて作るのです。ココナッツづくしのお菓子なのですよ。お湯で茹でたお菓子なので、カノムトムと命名されたのでしょう。なお、細く削ったココナッツの果肉をパームシュガーで煮詰めたものをグラチー (กระฉีก) と呼ぶようです。

カノムトム
カノムトム

色付きの団子もあります。パンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁で色付けすれば緑色の皮、チョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁で色付けすれば青色の皮。その他、カボチャを練り込めば黄色の皮、紫芋を練り込めば紫色の皮。色付けしなければ白色の皮になります。

色付きのカノムトム
色付きのカノムトム

以下の写真はグラチーの餡の様子。水で溶いたパームシュガーを火にかけとろみがついたら、生のココナッツロングを入れて適度な状態まで煮詰めて作ります。なお、少々の塩も加えますので、甘さの中に塩っけを感じる味わいです。

カノムトムのグラチーの餡の様子
カノムトムのグラチーの餡の様子

カノムトムは、街中のお菓子屋台で売っていることが多いと思います。ココナッツの果肉づくしのカノムトム、見つけたら挑戦してみてください。

なお、作り方によっては、カノムトムと似たように見えるカノムトゥアベープ (ขนมถั่วแปบ) があります。このお菓子は、蒸した緑豆を使ったお菓子です。

こぼれ話
ところで、細く削ったココナッツの果肉は、どのようにして作るのでしょう。以下の写真は、ココナッツの果肉の様子ですが ...

ココナッツの果肉
ココナッツの果肉

以下の写真は、家庭用の専用道具の一例です。ティー・クート・マプラーオ (ที่ขูดมะพร้าว) と呼ぶと思います。「ココナッツの果肉をこそげ取る道具:Coconut Meat Scraper」の意味ですね。幾つものメーカーから発売されているようです。以下の写真を例にすれば、左側の歯を使えば細く削った果肉(ココナッツロング)が、右側の歯を使えば粉末の果肉(ココナッツファイン)が取れますよ。たぶん、街中の調理器具店で、20〜40バーツ程度で買えると思います。

ティー・クート・マプラーオ
ティー・クート・マプラーオ

以下の写真のような形状の歯がある道具もあります。デパートやスーパーマーケットの調理器具コーナーで見つけることができます。上記のモノより高級感があり全体がステンレス製のモノもあります。これは、ココナッツロング用の道具です。

ティー・クート・マプラーオ
ティー・クート・マプラーオ

こそげ取った果肉は「こそげ取ったココナッツの果肉」の意味であるヌア・マプラーオ・クート (เนื้อมะพร้าวขูด) などと呼ばれていると思います。一般的には、生のココナッツロングに薄く塩を振り、蒸し上げて作ります。
ココナッツロングは、いろいろなお菓子のトッピングにも使われます。合わせるお菓子で作り方を調整してる可能性がありそうですが、私は、薄くフワフワのココナッツロングが好きですね。硬いもの塩っけの強いモノは苦手です。

カノムトムのヌア・マプラーオ・クートの様子
カノムトムのヌア・マプラーオ・クートの様子