タイのチョウマメの花 アンチャン(搾り汁の話)

アンチャンのアイキャッチ タイの食材

アンチャン (อัญชัน) とは「チョウマメ:蝶豆」のこと。英語ではバタフライピー (Butterfly pea) ですね。チョウマメの花は、タイ語でドークアンチャン (ดอกอัญชัน) と言います。ドーク (ดอก) は「花」の意味。一般的にアンチャンと言えば、チョウマメの花のドークアンチャンを指します。チョウマメの花の搾り汁は、タイ語でナムドークアンチャン (น้ำดอกอัญชัน) と言います。ナム (น้ำ) は「水」の意味。搾り汁は、鮮やかな青色でタイでは古くから食品の色付けに用いられています。

チョウマメの花(ドークアンチャン)

花の色は青色〜青紫色。八重咲きもあり。八重咲きはアンチャンソーン (อัญชันซ้อน) と言います。ソーン (ซ้อน) とは「重なった」の意味。八重咲きの方が、搾り汁はたくさん取れるでしょうね。なお、白色もあるようですが、食品の色付けには使えません。

八重咲きの青色のアンチャンソーン
八重咲きの青色のアンチャンソーン

以下の写真を見て、羽を開いている「蝶」に見えますか? 蝶豆の名前の由来になっているのですよ。

普通咲きの青紫色のアンチャン
普通咲きの青紫色のアンチャン

ところで、バンコクの住宅街などでも庭にアンチャンを植えている光景を見ることがありますよ。特別な植物ではありません。ほぼ一年中花が咲きますが、乾季の気温が下がる期間は少なく、雨季には多いとのこと。

とある家の塀 (へい) を乗り越えているアンチャンの様子
とある家の塀 (へい) を乗り越えているアンチャンの様子
青紫色のアンチャンの様子
青紫色のアンチャンの様子

チョウマメの花の絞り汁(ナムドークアンチャン)

絞り汁は、庭にアンチャンを植えている方なら新鮮な生花から作る方もいるとは思いますが、通常は乾燥した花から作ります。ドークアンチャンヘーン (ดอกอัญชันแห้ง) と言います。ヘーン (แห้ง) は「乾いた」の意味。丁寧に作るなら「がく」を外して、水の中で揉んだり、お湯で煮出して作ります。使う水の量で濃さを調整します。なお、不要になった花は漉し器を使って取り除きます。

アンチャンを干している様子
アンチャンを干している様子
干しているアンチャンの様子
干しているアンチャンの様子

この搾り汁にマナーオ (มะนาว) の搾り汁を入れると、青色から紫色に変化します。この現象は、アンチャンに含まれているアントシアニンが酸性になると紫色になるためです。デザートの色付けに使う場合には、酸性のマナーオやレモンなど使えば紫色として使うことができますが、アルカリ性のベーキングソーダを使うと青色に戻るので注意が必要ですね。
以下の写真は、青色の搾り汁にマナーオの搾り汁を加えて紫色に変化する様子。

青色のアンチャンの搾り汁
青色のアンチャンの搾り汁
紫色に変化したアンチャンの搾り汁
紫色に変化したアンチャンの搾り汁

青色の搾り汁は、もち米のカオニャオムーン (ข้าวเหนียวมูน) や多くのデザートの色付けに利用されますが、タイでは独特の風味がある緑色のパンダンの葉の絞り汁の方が断然人気があります。パンダンの葉はバイトゥーイ (ใบเตย) と言います。

カオニャオムーン (上がアンチャン、下がバイトゥーイ)
カオニャオムーン (上がアンチャン、下がバイトゥーイ)

以下の写真は、青色の搾り汁を使ったカノムタゴーサークーピアックの様子。

アンチャンの搾り汁で色付けしたカノムタゴー
アンチャンの搾り汁で色付けしたカノムタゴー
アンチャンの搾り汁で色付けしたサークーピアック
アンチャンの搾り汁で色付けしたサークーピアック

アンチャンですが、大きなタラートや一部のスーパーマーケットには置いてありますが、見つけるのは難しいかもしれませんよ。だって、普通のタイ人は、あえてアンチャンを使うようなお菓子作りなどしませんので ... お菓子は屋台で買うものなのです。

タラートで見つけたアンチャン
タラートで見つけたアンチャン
タラートで見つけたアンチャン
タラートで見つけたアンチャン

ところで ...
アンチャンのジュースは、ナムアンチャン (น้ำอัญชัน) と言います。搾り汁自体は、ほんのりとした豆のような風味を感じる程度なので、砂糖や蜂蜜を加えたり炭酸水で割ったりするのですが、タイ人には全く人気がありません。タイ人が食堂やレストランで飲むとしたなら、黄色の菊花茶のナムゲックフアイ (น้ำเก๊กฮวย) なのです。
そのため、観光客の集まるエリアのジュース屋台や小洒落た店などでしか見る機会が無いと思います。青色、紫色、牛乳の白色、透明な炭酸水などとのグラデーションはトロピカル的でインスタ映えするので観光客には人気があるのでしょう。たくさんのクラッシュアイスを利用すれば紫色、青色のグラデーションも意外と簡単に作れます。
一般的には、マナーオの搾り汁で作ったマナーオジュースやマナーオスカッシュにアンチャンの搾り汁を加えるスタイル。

マナーオジュースにアンチャンの搾り汁を加えた様子
マナーオジュースにアンチャンの搾り汁を加えた様子

以下の写真は、クイジャップのミスタージョーで飲んだナムアンチャンの様子。ゼリーも入っています。

ミスタージョーのナムアンチャンの様子
ミスタージョーのナムアンチャンの様子
ミスタージョーのナムアンチャンの様子
ミスタージョーのナムアンチャンの様子

以下の動画は、ゼリー入りのナムアンチャンマナーオ(น้ำอัญชันมะนาว) の作り方。参考まで ...
Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=D3RmH95pdKo

チョウマメの花のハーブティー(チャーアンチャン)

チョウマメの花のハーブティーは、タイ語でチャーアンチャン (ชาอัญชัน) と言います。チャー (ชา) は「茶」の意味。アンチャンをハーブティーで飲みたいなら ...
ティーカップが 120m程度の大きさと仮定して、生花でも乾燥タイプでも4個。なお、八重咲きなら3個でも良いかも。マグカップなら5〜6個。ただし、生花はガクを外しましょう。抽出できた色の濃さを見て、好みで数を調整してください。生花は、水に浮かして置けば常温でも2〜3日なら問題ありません。

水に浮かしている生花のアンチャンの様子
水に浮かしている生花のアンチャンの様子

以下の写真は、八重咲きを使ったハーブティー用の乾燥タイプ。

八重咲きを使ったハーブティー用の乾燥タイプ
八重咲きを使ったハーブティー用の乾燥タイプ

以下の写真は、八重咲きの乾燥タイプ4個にお湯を注いだ様子。花を搾ればまだまだ色が出るでしょう。ティーポットやティーサーバーを使わなくても作れますよ。

八重咲きの乾燥タイプ4個にお湯を注いだ様子
八重咲きの乾燥タイプ4個にお湯を注いだ様子

ハーブティーとして売っている乾燥タイプだと値段が高いですよ。なお、普通のスーパーマーケットでは置いていないことも多いですね。以下の写真は、ヴィラマーケット (Villa Market) のアンチャンのハーブティーの様子。

ヴィラマーケットのアンチャンのハーブティー
ヴィラマーケットのアンチャンのハーブティー
ヴィラマーケットのアンチャンのハーブティー
ヴィラマーケットのアンチャンのハーブティー

お土産にしたいなら、サイアムパラゴンにあるスーパーマーケットのお土産コーナーをぞいてみてください。必ず見つかると思いますよ。

サイアムパラゴンにあるアンチャンのハーブティー
サイアムパラゴンにあるアンチャンのハーブティー

なお、新鮮な生花は衣をつけて揚げて食べたり、料理の飾りに使ったりもするようですが見かけることは少ないでしょう。

とあるレストランの料理の飾りに使っているチョウマメの花
とあるレストランの料理の飾りに使っているアンチャン