タマリンドは、タイ語でマカーム (มะขาม) と言います。マメ科の植物で甘味種のマカーム・ワーン (มะขามหวาน:Sweet Tamarind) と酸味種のマカーム・プリアオ (มะขามเปรี้ยว:Sour Tamarind) の2つのグループがあります。ワーン (หวาน) とは「甘い」、プリアオ (เปรี้ยว) とは「酸っぱい」の意味。なお、それぞれのグループ内にも幾つかの品種があります。
マカーム・ワーン(甘味種のタマリンド)
完熟した果肉をそのまま食べるタマリンドが、マカーム・ワーン。最近、スーパーマーケットのフルーツコーナーに赤いネットに入ったタマリンドが並ぶようになりました。このスタイルで流通に乗せたので、スーパーマーケットでも扱うことが可能になったのでしょう。量販店の場合、タマリンドの量り売りは厳しいですよね。なお、時々街中の屋台でも見かけます。
以下の写真は、タマリンドの産地で有名なペッチャブーン (จังหวัดเพชรบูรณ์) 県産のマカーム・ワーン・シートーン (มะขามหวานสีทอง) なる品種。シートーン (สีทอง) とは「ゴールデン」の意味。1kg 入りで 119 バーツですので安くはないですよ。
さてさて、タマリンドの基本は樹上完熟。さらに、しっかり乾燥させてあるので、サヤ(殻)は指で押すとパリパリと簡単に割れるのです。もし、殻が硬い場合には、上から優しく硬い物や手のひらで叩いてください。
以下の写真が、マカーム・ワーンの全体像。短く切り離したドーナツのポンデリングのような形ですね。殻と目に見える筋を取り除き、茶色の果肉を頬張ります。果肉の中には黒い種がありますので、種は吐き出しましょう。種には渋皮があります。この渋皮は食べることができますが、個体によっては非常に硬いものがあります。不快に感じるなら、食べないのもありだと思いますよ。
マカーム・ワーンのお味の方ですが、ねっとり系の干し柿や干しあんずのような食感で、ほのかな酸味とほのかな甘味のハーモニー。果汁系のグミ菓子に近い感じもするかな??
殻が壊れていたり、穴が開いている場合、虫が侵入している個体もあります。また、果肉の品質が怪しいと感じた場合には諦めて捨ててください。殻の汚れが気になる場合には、水で濡らしたキッチンペーパーなどで事前に拭いておきましょう。
なお、タマリンドの果肉に白いカビがある個体があります。「白いカビのあるものは、なるべく食べない方が良い」との記事があります。反対に「この白カビ菌は毒素を出さないので無害、さらに、カビの生えたタマリンドには、カビの生えていないタマリンドの 1,000 倍の抗酸化物質があるので体に良い」との記事もあります。食べる/食べないは、各自の判断におまかせする他ないようです。
以下の URL は、タイの新聞「The Nation Thailand」の Web 記事の URL です。2023年 2月 6日付けの「ペッチャブーン県の副知事はタマリンドの白いカビは安全と証明」のような表題の記事です。英語版ですが参考まで ...
https://www.nationthailand.com/thailand/general/40024673
マカーム・プリアオ(酸味種のタマリンド)
マカーム・プリアオにも幾つかの品種がありますが、その名の通りどの品種も酸っぱいです。完熟した果肉を料理や加工用に使います。例えば、パッタイやトムヤム系料理にもマイルドな酸味を出すために使われます。酸味にはマナーオもありますが、マナーオには苦味があるので使い過ぎると苦味も前に出てしまうのです。酸味以外にとろみを付けることもできるので、煮物系料理にもよく使われます。実際に料理に使われるのはマカーム・プリアオの果肉から作ったタマリンドソースやタマリンドペーストです。タイ語で、ナム・マカーム・ピアック (น้ำมะขามเปียก) と言います。
ナム・マカーム・ピアックの作り方ですが ...
まず、完熟したマカーム・プリアオから殻を外した状態の果肉を集めたものをマカーム・ピアック (มะขามเปียก) と呼びます。最近はあまり見かけませんが、タラートやスーパーマーケットでも売っています。ピアック (เปียก) とは「濡れている/湿り気がある」のような意味。
このマカーム・ピアックを水に浸して溶かし、種や筋をろ過した果肉水を殺菌のため煮立てて作ったタマリンド水がナム・マカーム・ピアックなのです。ナム (น้ำ) とは「水」のこと。水っぽいものからとろみがあるものまであり、使い方に合わせてた濃縮度があるのです。果肉を溶かす水の量で濃縮度が変わるのです。今では、いろいろなメーカーからボトル入りのナム・マカーム・ピアックが発売されているので、スーパーマーケットやコンビニでも買うことができます。ボトルを振ってみればわかりますが、水っぽいスタイルは「Tamarind Sauce」、とろみがあるスタイルは「Tamarind Paste」と書いてあります。だから、果肉を集めただけのマカーム・ピアックを見かけなくなった、これは時代の流れでしょうね。このナム・マカーム・ピアックを水で薄めて砂糖やハチミツを加えればタマリンドジュースの完成です。
お土産にできるタマリンド
殻と種を外したマカーム・ワーンがあります。幾つかのメーカーから発売されています。デパート内のマーケットやいろいろなスーパーマーケットでも買うことができます。剥き殻などのゴミの心配も要らないし、そのままマカーム・ワーンを味わうことができるのです。このタイプのタマリンドは日本へのお土産にできますよ。
例えば「Tamarind House」なるブランドを Google 検索してみてください。いろいろなタマリンド商品を扱っています。スーパーマーケットでの扱いもあるブランドです。参考まで ...
Tamarind House Facebook:https://www.facebook.com/TamarindHouse
そうそう、タマリンドのお菓子は、味の違いなどいろいろな種類がスーパーマーケットやコンビニに置いてあります。
マカーム・テー
ところで、以下の写真は先日、ノンタブリー市場で見かけたマカーム・テー (มะขามเทศ:Manila Tamarind) と呼ばれているもの。見る機会が少ない品種です。タマリンドと同じマメ科の植物ですが、タマリンドとは違いがあります。テー (เทศ) とは「外国の」の意味。我が家の嫁は「美味しくない、好きじゃない」と言って見向きもせず。まあ〜 美味しいなら商業ベースに乗っているとも思ってみたり。もしかしたら、美味しいとは言えないはずだった赤いグアバのような新しい品種の可能性もあるのかな?
こぼれ話
以下の写真は、嫁の実家にある巨大マカーム・プリアオの木の様子。
以下の写真は、果肉から取り出した種子。遠い昔のこと、嫁の実家に数本のマカームの木があることを目にした業者から「是非果肉を売ってくれ」と依頼されたらしい。折角実ったマカームを無駄にするのも忍びないのでその依頼を受けることに。この業者は種を取った果肉だけを買取るのだが、取り出した種は別の業者が買取るらしい。とのこで、保存してあった種子が以下の写真。お小遣い程度の微々たる収入なのですよ。
以下の写真は、嫁の実家から頂いたマカーム・ピアックの様子。