タイの最近の赤いグアバの話 ファラン・サイデーン 

ファラン・サイデーン タイの果物

最近、街中の屋台で果肉の赤いファラン (ฝรั่ง) を見かけるようになりました。ファランとは「グアバ」のこと。この赤肉系グアバは、タイ語でファラン・サイデーン (ฝรั่งไส้แดง) と言います。「腹の中が赤いグアバ」の意味。グアバはビタミンが豊富な果物で、特に ビタミンC は果物の中でもトップレベルの含有量。食物繊維が多いので満腹感が得られ、さらに低カロリー。タイの女性には人気のフルーツです。

グアバには、スペインやポルトガルの商人が世界中に広めた歴史があり、東南アジアもしかり。タイには 17 世紀頃に持ち込まれたようです。タイのグアバには赤肉系と白肉系の品種があり、品種改良も年々進んでいるようで、多くの品種が商品化されているのです。最近のグアバは、以前と比べサイズも大きくなり、ジューシーで甘く、食感も良いものが増えています。なお、市場で売られている品種のほどんどが白肉系のグアバ。何故って、タイの赤肉系のグアバは美味しくないからです。例えば、赤肉系のグアバには、ファラン・キーノック (ฝรั่งขี้นก) なるグアバがありますが、果肉がもっちり/どろっとしていてサクサク感/カリカリ感がないので人気がないのです。名前も酷いですね。キーノックとは「鳥の糞」のこと。55555 ...

さてさて ...
長い間、市場からは忘れ去られた感のある赤肉系のグアバですが、最近の屋台で売られている赤肉系のグアバは、近年に台湾から持ち込まれた品種。だから、ファラン・タイワン・サイデーン (ฝรั่งไต้หวันไส้แดง) とも言います。なお、台湾から持ち込まれた赤肉系グアバにも、幾つかの品種があるようですが、市場で人気があるのがファラン・ホンパオスー (ฝรั่งหงเป่าสือ) なる品種とのこと。やっと屋台でも並べることができる生産量になったのかもしれませんね。珍しさもあり価格は多少高目です。白肉系と同じようにサクサク感/カリカリ感があり美味しいですよ。

以下の写真は、とあるファラン・サイデーンを売っている屋台の様子。赤肉系であることが分かるように必ずカットした見本があります。

ファラン・タイワン・サイデーンの屋台
ファラン・タイワン・サイデーンの屋台

ファランの屋台は、量り売りが多いのですが、この屋台はカットしたファラン・サイデーンも売っていました。

綺麗な果肉のファラン・サイデーンの様子
綺麗な果肉のファラン・サイデーンの様子
パック詰めのファラン・サイデーン
パック詰めのファラン・サイデーン

さらに、以下の写真のようにナムチム (น้ำจิ้ม) も別売りで用意してありました。ナムチムとは「ディップ」のこと。左側がプリックグルア (พริกเกลือ)、右側がナムチム・ナムターンビープ (น้ำจิ้มน้ำตาลปี๊บ) です。まずは左側のプリックグルアですが、プリック (พริก) は「唐辛子」、グルア (เกลือ) は「塩」の意味ですが、実際は、グラニュー糖メインの甘い砂糖のディップです。謎なのですが、ファランにはプリックグルアが基本のディップなのですよ。次に右側のナムチム・ナムターンビープですが、グラニュー糖の代わりにココナッツ椰子の砂糖を使った甘い砂糖のディップです。これも謎ですがファランにはナムチム・ナムターンビープが美味しいと言われているのです。

左側がプリックグルア、右側がナムチム・ナムターンビープ
左側がプリックグルア、右側がナムチム・ナムターンビープ

ちなみに、バンコクで流通している白肉系には多くの品種があるのですが、 皮が薄く、種が小さく、甘みがあり、パリッとした食感のあるファラン・キムチュー (ฝรั่งกิมจู) には人気があるようです。他には、サイズが大きなファラン・ペンシートーン (ฝรั่งแป้นสีทอง) も。生産地や地方と大都会バンコクでは違いがあるかもしれませんが、バンコクの果物業界は新しい品種/人気の品種による新陳代謝のスピード感は半端ないな〜 と感じます。赤肉系 VS 白肉系のグアバ戦争がおもしろくなりそうです。55555 ...

こぼれ話
我が家の嫁は、マムアン(マンゴー)とファランの盛り合わせを用意することが多いのですが、マンゴーのディップであるナンプラーワーン (น้ำปลาหวาน) で食べるのも美味しいですよ。
なお、果物のディップについては、以下の2つの記事も参考になれば幸いです。