空芯菜はタイ語でパックブン (ผักบุ้ง) と言います。なお、タイ語の発音はパッブンの方が近いと思います。空芯菜炒めは、パットパックブン (ผัดผักบุ้ง) と言います。パット (ผัด) は「炒める」の意味。タイでも人気のある炒め物料理の一つですが、庶民のぶっかけ飯屋やおかず屋台とレストランの空芯菜炒めには違いがあるのです。
ぶっかけ飯屋やおかず屋台の場合 ...
定番料理の一つですが、通常、豚のひき肉のムーサップ (หมูสับ)、またはカリカリに揚げた豚の三枚肉のムークロープ (หมูกรอบ) が入っています。正確に言えば、パットパックブンムーサップ (ผัดผักบุ้งหมูสับ)、パットパックブンムークロープ (ผัดผักบุ้งหมูกรอบ) です。何故?って、豚肉が入っていた方が断然美味しいと思いませんか? ほうれん草炒めにハムやベーコンを入れるように ...
以下の写真は、おかず屋台でテイクアウトしたパットパックブンムーサップ。
レストランの場合 ...
空芯菜炒めのメニュー名には、パックブンファイデーン (ผักบุ้งไฟแดง)、またはパットを付けてパットパックブンファイデーンと書かれています。ファイデーンが付くと一般的には空芯菜だけの炒め料理。ファイデーン (ไฟแดง) とは「赤い炎」の意味なので、赤い炎が上がるような強火で炒めることなのでしょう。中華鍋の熱い油の中に冷水に浸した空芯菜を入れて煽ることによる 爆(バオ)を表現しているのでしょう。素材のシャキシャキ感を残して瞬時に火を通すの中華料理のテクニックです。
以下の写真はとあるシーフードレストランのパックブンファイデーン。ちょっとしたレストランやシーフードレストランにさえある人気の中華風野菜炒めです。写真を見てシャキシャキ感が伝わってきますよね。空芯菜の色も非常に鮮やか。作り立てと作り置きの違いがあるとは思いますが、ぶっかけ飯屋やおかず屋台のパットパックブンはクタクタ感が隠せない。
なお、レストランの場合、時々噛み切れないほどに長くカットした空芯菜を使う店があります。火の通し具合なのかシャキシャキ感も若干違います。好みが分かれるところでしょう。パックブンファイデーンは一般的に非常に辛い料理なので、辛味が苦手な方は注文の際に辛味を押さえる旨を伝えた方が良いかもしれません。
さてさて ...
ぶっかけ飯屋のパットパックブンもレストランのパックブンファイデーンも基本的に味付けは同じ。ニンニク、唐辛子、ナンプラー、オイスターソース、砂糖など、そして特徴的な調味料であるタオチオ (เต้าเจี้ยว) で味付けします。タオチオの名前の由来は「豆醬」の福建/潮州系の発音が訛ったもののようですね。大豆を原料にした発酵食品でとろりとしたタイの味噌です。大豆が粒のまま残っているのが特徴で、タイの代表的な調味料の一つです。タオチオはスーパーマーケットで売っています。
以下の写真は、醤油で有名なヘルシーボーイ (deksomboon) のタオチオ 。
空芯菜は、ターラートでもスーパーマーケットでも簡単に買える野菜です。洗うのが多少面倒ですが、あなた好みの味のパットパックブンムーサップ、またはシャキシャキ感のあるファイデーンに挑戦してみるのも面白いかも!!
私もシャキシャキ感のある空芯菜炒めに挑戦するのですが ... 出来栄えはぶっかけ飯屋のパットパックブンかもしれない。55555 ... 電気コンロしか無い我が家では「ファイデーン」は難しいのです。バンコクのコンドミニアムはガスの使用が禁止されているため電気調理器具しか使えないのですよ。ところで、タイ語の会話の中でファイデーンと言えば赤信号のことです。55555 ...
こぼれ話
レストランのメニューにはパックブンファイデーンの近くにハヤトウリ (Chayote) の蔓や葉を炒めた料理があるかもしれません。ハヤトウリは、タイ語でファクメーオ (ฟักแม้ว)、またはマラワーン (มะระหวาน) と呼ばれています。
メニュー名には、ヨートファクメーオファイデーン (ยอดฟักแม้วไฟแดง)、またはヨートマラワーンファイデーン (ยอดมะระหวานไฟแดง) と書かれています。この場合のヨート (ยอด) は「先端部分」の意味。たぶん同じ店なら基本的にパックブンファイデーンと同じ味付けだと思います。甘くてシャキシャキとした食感がとても面白いですよ。私はパックブンファイデーンよりヨートファクメーオファイデーンの方が好きかも。