最近のタイのメロン事情 テンタイと日本種のメロンイープン 

メロンのアイキャッチ タイの果物

タイ語でメロンの総称は、テンタイ (แตงไทย)、またはテンメロン (แตงเมล่อน) だろう。ざっくり、テンタイとは昔からある品種を指し、テンメロンとは近年海外から導入した新しい品種を指して区別しているように思われる。テン (แตง) とは「瓜」の総称、メロン (ล่อน) は「メロン」のことである。今では、スーパーマーケットに並ぶメロンの殆どはテンメロンであり、中でも日本種のメロンイープン (ล่อนญี่ปุ่น) が主流ある。イープン (ญี่ปุ่น) とは「日本」のこと。なお、メロンイープンを街中の果物屋台で見る機会は滅多にない。庶民感覚からすれば高価なフルーツなのだ。

まずは、昔からあるテンタイ ...
オレンジ色の地色に白色の縦縞模様があるテンタイモントーン (แตงไทยหมอนทอง) やテンタイシンガポール (แตงไทยสิงคโปร์) など幾つかの栽培品種がある。マクワウリの仲間で若い果実の地色は緑色だが、熟すとオレンジ色に変わるのだ。若い果実は野菜として、熟した果実はフルーツとしてテンタイナムガティ(แตงไทยน้ำกะทิ)やロートチョンナムガティ (ลอดช่องน้ำกะทิ) のトッピングとして食べられている。ナムガティ (น้ำกะทิ) とは、パームシュガーやグラニュー糖で甘味を付けたココナッツミルクのことなのだ。何故って? テンタイの果肉は甘さとジューシーさがないので甘いココナッツミルクと一緒に食べるのである。さらに果肉は硬く、初めてテンタイを食べた時には「不味い」と感じたものである。

オレンジ色に白色の縦縞がある熟したテンタイの様子
オレンジ色に白色の縦縞がある熟したテンタイの様子
甘いココナッツミルクのテンタイナムガティ
甘いココナッツミルクのテンタイナムガティ

次に、メロンイープン ...
思い起こせば、我が家の娘が未だ幼い時期、十数年前のこと。商品タグに「メロン」や「夕張メロン」と書かれた網目メロンを見かけるようになってきた時期でもある。娘にそれらのメロンを食べさせたところ「美味しい」とのことで、よく買わされたことを思い出す。テンタイは食べないが、テンメロンは食べるのである。他のフルーツと比べるとかなり高価であったことは言うまでもない。

商品タグに「メロン」と書いてある網目メロン
商品タグに「メロン」と書いてある網目メロン

以下の写真は、最近のスーパーマーケットのメロンイープンの様子。英語表記の場合「Japanese Melon」と果肉の色を併記したスタイルが多い。例えば「Japanese Green Melon」や「Japanese Orange Melon」などである。タイ語も同じで果肉の色を併記してある。緑色ならヌアキアオ (เนื้อเขียว) 、オレンジ色ならヌアソム (เนื้อส้ม) である。ヌア (เนื้อ) は「肉」、キアオ (เขียว) は「緑」、ソム (ส้ม) は「オレンジ」の意味なのだ。特定の品種名やブランド名、メロンファーム名を書いてあるスタイルもあるにはあるがそれほど多くはないと感じる。日本から種を輸入した栽培種やタイ国内での品種改良/交配種もあったりで大きな括りでしか書けないのだろうと想像している。今では、バンコク近郊にも多くのメロンファームがあるようだ。レストランやデザートショップを併設したスタイルも増えているらしい。

「Japanese Green Melon」と書いてあるメロンイープン
「Japanese Green Melon」と書いてあるメロンイープン
「Japanese Orange Melon」と書いてあるメロンイープン
「Japanese Orange Melon」と書いてあるメロンイープン
「Green Japanese Melon」と書いてあるメロンイープン
「Green Japanese Melon」と書いてあるメロンイープン

先日のこと。パラゴンのスーパーマーケットをのぞいたところ、とあるメロンファームとのタイアップと思わるメロンイープンの販売風景を見かけたので紹介してみよう。
向かって左から、みゆき (MIYUKI:มิยูกิ)、王子ユリ (OJI YURI:โอจิยูริ)、茨城 (Ibaraki:อิบารากิ) なる新しい品種らしい。みゆきと王子ユリにはヌアソム (เนื้อส้ม) のシールがあるので、オレンジ色の果肉なのだ。パラゴンなので値段は高い。いずれもキロあたり 250バーツ前後なので、1個で 450バーツ前後になるだろう。一般的なスーパーマーケットの品種ならキロあたり 100〜150バーツが相場だろう。

パラゴンのメロンイープン(日本種メロン)の販売風景
パラゴンのメロンイープン(日本種メロン)の販売風景
みゆきなるメロンイープン(日本種メロン)
みゆきなるメロンイープン(日本種メロン)
王子ユリなるメロンイープン(日本種メロン)
王子ユリなるメロンイープン(日本種メロン)
茨城なるメロンイープン(日本種メロン)
茨城なるメロンイープン(日本種メロン)

見ての通り、日本名が付いているところが面白い。他にも日本からの種の輸入業者の Webサイトをチェックすると、日本名が付いているメロンがたくさんあるのだ。興味があるならこの URL を参考に願う。URL:https://www.nakhonseeds.com/shop-1

スーパーマーケットの場合、フルーツ全般に言えることだが追熟が必要な状態での販売なので注意されたし。なお、カットしたメロンイープンもパック詰めで売っているが、半玉分が一般的なようだ。ただし、追熟が不完全な状態でカットしていることも多いため硬さがあり残念ではあるが、タイ人の感覚は柔らかい完熟状態を好まないのかもしれない。ドリアンやフルーツとしてのパパイヤしかり ...

パック詰めのカットメロンイープンの様子
パック詰めのカットメロンイープンの様子
パック詰めのカットメロンイープンの様子
パック詰めのカットメロンイープンの様子
硬さが残るパック詰めのカットメロンイープンの様子
硬さが残るパック詰めのカットメロンイープンの様子

昔からあるテンタイは人気のあるフルーツではないのだが、最近のメロンイープンは人気上昇中と思われる。十数年前のメロンイープンより美味しくなっているのは間違いない。今後のメロンイープンの行く末が非常に楽しみである。なお、メロンイープンは丸い状態で買い、自身で食べ頃を管理するのがベストだろう。

ところで ...
スーパーマーケットでメロンイープン以外で見かけることが多いのが、テンサンレディー (แต่งซันเลดี้) なる品種である。「San Lady Melon」の意味である。これはカンタロープ (Cantaloupe) 種。カンタロープ種はテンカンタループ (แตงแคนตาลูป)、またはカンタループ (แคนตาลูป) と呼び、メロンイープンとは区別する。価格はメロンイープンより安い。カンタロープ種も近年海外から導入されたテンメロンであり、テンタイとは区別されている。

スーパーマーケットのメロンイープンとテンサンレディーの様子
スーパーマーケットのメロンイープンとテンサンレディーの様子
街中の果物屋台のテンサンレディーの様子
街中の果物屋台のテンサンレディーの様子
カンタロープ種のサンレディーの様子
カンタロープ種のサンレディーの様子

こぼれ話
以下の写真は、街中で見かけたカットフルーツ屋台のメロンの様子。このメロンはテンチベット (แตงทิเบต)、またはテンハミグア (แตงฮามิกัว) と呼ばれているラグビーボールのようなスタイルの中国種。哈蜜瓜(ハミウリ)系のメロン。タイ国内でも中国種の栽培が行われているようだが、中国からの輸入品もあるようだ。私は輸入品なら食べたいとは思わない。

街中で見かけた中国種のメロン(テンチベット)
街中で見かけた中国種のメロン(テンチベット)