カノムピア (ขนมเปี๊ยะ) とは、パイのようなサクサク/パリパリ系の皮で包んである中華系お菓子。いろいろなスタイルでいろいろな餡のカノムピアがあり、塩漬けのアヒルの卵の黄身が入っているタイプもあります。例えば、以下の写真は、S&P ブランドのカノムピア。英語で「塩漬けの卵入りの緑豆の餡」と書いてあります。
タイで塩漬けのアヒルの卵の黄身が入っている中華系お菓子と言えば月餅。そう、カノムピアは、月餅が源流のお菓子なのです。一般的に思い浮かぶスタイルの月餅は、タイ語でカノムワイプラジャン (ขนมไหว้พระจันทร์) と呼び、「月にワイするお菓子」の意味で、月餅 (Moon Cake) を指します。バンコクでは、中秋節が近づくとあっちでもこっちでも「Moon Cake 祭」。このカノムワイプラジャンは、しっとり系の生地を使い、押し型で綺麗な形や模様を作り、高さのある広式月餅です。
一方のカノムピアは潮式月餅なのです。潮式月餅は、パイ生地を使い、饅頭状に丸めて作り、皮が白っぽい特徴があります。また、包んである皮に綺麗な渦巻き模様があるタイプもあります。
なお、生地に色付けしてあるタイプもあります。
以下の写真のカノムピアの皮はピンク色。
以下の写真のカノムピアは、皮の色によって中の餡が違っている様子です。作り手のアイディア次第でいろいろなカノムピアがありますね。参考まで ...
以下の写真は、ヤワラー（バンコクのチャイナタウン）で 100年以上続いている老舗の鄭老振盛 (Tae Lao Chin Seng：แต้เล่าจิ้นเส็ง) のカノムピア。直径が12〜13cmある大きいタイプ。鄭老振盛では、この大きなタイプをカノムピアと呼ぶのです。この大きなタイプがカノムピアの醍醐味ですね。皮が薄く豆系のまろみのある甘い餡が癖になる非常に美味しいカノムピアなのです。
以下の写真も鄭老振盛の小さいタイプのカノムピア。右側は、皮が白っぽく、綺麗な渦巻き模様があるタイプです。なお、鄭老振盛では、別な名前の商品名になっています。
製造メーカーや商品の違いにもよりますが、塩漬けのアヒルの卵の黄身を入れるカノムピアと入れないカノムピアがあります。そして、豆系餡や芋系餡、ドリアン餡など幾つかの餡の種類がある店もあるのです。
以下の写真は、7-11 にある変わり種のカノムピア。ピアモチ (เปี๊ยะโมจิ)、ラーワーカイケム (ลาวาไข่เค็ม) と表示されています。ラーワーカイケムとは「塩漬けの卵の黄身のカスタード」、ピアモチとは「餅の食感のあるピア」を意味しているようで、餅のような腰のある皮に仕上がっているのです。55555 ...
ラーワーカイケムのラーワー (ลาวา) とは「溶岩」のことなのですが、このカスタードの見た目を溶岩に例えているのですね。タイでは、このラーワーカイケムを使ったお菓子もあるのです。タイの中華まん「サラパオ」の具にもありますよ。機会があれば、挑戦してみてください。なお、7-11 には普通のカノムピアもあったと思います。
カノムピアは、街中のお菓子屋台からスーパーマーケットのお土産コーナー、お菓子専門店まで至る所で見かける国民的なお菓子です。正直、皮が厚すぎだったり、パサパサの餡だったりでハズレもありますが、専門店のカノムピアを試してみてください。非常に美味しいカノムピアに出会えるはずです。
こぼれ話
タイの華人は、潮州系の華人が圧倒的に多いので、潮州系文化の影響を受けているとのこと。潮式月餅のカノムピアもしかり ...
さて、ヤワラーの老舗の鄭老振盛 (Tae Lao Chin Seng：แต้เล่าจิ้นเส็ง) の情報ですが ...
Facebook：https://www.facebook.com/taelaochinseng/
なお、ヤワラーには、他にも大きなタイプのカノムピアを扱っている中華菓子店がありますが、どこの店も美味しいですよ。
そうそう、以下の写真が一般的な月餅 (Moon Cake) の広式月餅ですね。ドリアンの餡なのですが、タイでは、カノムワイプラジャン（広式月餅）の餡としては、普通のことなのですよ。
ヤワラーの中華菓子店には美味しいカノムルークタオもありますよ。カノムピア・ルークタオ (ขนมเปี๊ยะลูกเต๋า) とも呼ばれている中華菓子です。
