タイのお菓子 カオテーン(もち米のサクサク揚げ煎餅)

カオテーン タイのお菓子

カオテーン (ข้าวแต๋น) は、蒸してあるもち米 (カオニャオ:ข้าวเหนียว) に、スイカの絞り汁 (ナーム・テンモー:น้ำแตงโม) やリュウガンの絞り汁 (ナーム・ラムヤイ:น้ำลำไย)、サトウキビの絞り汁 (ナーム・オイ:น้ําอ้อย) などと少々の砂糖を入れて混ぜ合わせ、天日で干した後に油で揚げた軽いサクサクの「揚げ煎餅」です。絞り汁を使うのは、白いカオニャオに色付けしているのです。一般的には、ブラウンシュガーから作ったカラメルを「揚げ煎餅」の片面にかけて完成。

カオテーン
大きなカオテーン(直径 10cm以上)

最近は、スイカの絞り汁を使ったタイプが人気とのこと。スイカの絞り汁は、油で揚げると綺麗な茶色になるのです。カオテーン・ナムテンモー (ข้าวแต๋นน้ำแตงโม) と呼ばれています。その他にもパンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁やチョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁で色付けしているカオテーンもあります。

カオテーン
カオテーン・ナムテンモー

元々は、食べ残しのカオニャオの有効利用や保存のための知恵から生まれた保存食。天日で干した状態で止めておけば長期保存が可能です。食べる前に油で揚げて、カラメルをかければ美味しいカオテーンのできあがり。大昔なら長旅や戦争の際に空腹を紛らわすために携行したとのこと。
現在の街中には、黒もち米を混ぜたタイプもあるし、ピーナッツ、緑豆、黒ごま、白ごまなどのトッピング入りもあるし、いろいろな色のカオテーンがあります。サイズも様々。なお、ココナッツミルクを加えるレシピもあるとのこと。今では、進化を遂げてタイを代表するお菓子の一つになったのです。

ドリアンチップスが乗っているカオテーン
ドリアンチップスが乗っているカオテーン
カオテーン
いろいろなカオテーンを扱っている屋台

以下の写真は、直径 2.5cm 程の小さなカオテーン。さらに、カラメル無し。その代わりに「揚げ煎餅」自体がほんのり甘め。このタイプもなかなか美味しいですよ。

カオテーン
小さなカオテーン(カラメル無しタイプ)

街中には、菓子屋台に限らず、食堂の店先やお菓子とは無関係な屋台などにさえも、手作りのカオテーンを置いてあったりと ... カオテーンは、いろいろな所で見つけることがでる大衆に溶け込んだお菓子です。一般的にバンコクなら 20バーツ 〜 40バーツの袋詰めが相場だと思います。そうそう、その場でカオテーンを作っている屋台もありますね。

カオテーン屋台
カオテーン屋台の様子
カオテーン屋台の様子
カオテーン屋台の様子
カオテーン
お菓子とは無関係な店の店先で売っているカオテーン

なお、スーパーマーケットでは、お土産に使えそうなしっかりした袋詰めのカオテーンを置いていますが、60バーツ以上だろうか?
そう、美味しいカオテーンは日本へのお土産にもなると思います。サクサクの美味しい煎餅ですよ。

カオテーン
菓子屋のカオテーンの様子

ところで ...
カオテーンは、タイの北部地域に古くから伝わるお菓子なのですが、非常に似たお菓子にナーンレッド (นางเล็ด) があります。ナーンレッドは、タイの中部地域のお菓子。今では、カオテーンとナーンレッドを同じお菓子として扱うこともありますが、本来は違うらしい。
カオテーンは、前述のようにもち米にスイカの絞り汁や砂糖を加えているので「揚げ煎餅」自体に色と多少の甘味があります。
一方のナーンレッドは、もち米自体には一切何も加えないとのこと。そのため「揚げ煎餅」自体に甘味が無く、白色が基本。片面にかけたカラメルの甘さだけとのこと。

こぼれ話
カオテーンに似たような「揚げ煎餅」にカオタン (ข้าวตัง) があります。
昔の話。大きな鍋と薪でご飯を炊く過程で、鍋の底にこびりついてしまうおこげ硬くて乾燥したご飯の部分がカオタン。例えば、使用人が多い貴族ほどカオタンが生じることに。偉い人は上手く炊けたご飯、そうじゃない人や若者が美味しいカオタン。55555 ... だから、カオタンは、もち米ではありません。普通の米です。もち米は蒸すのが基本ですので、おこげが出ないのです。
また、ご飯の食べ残しは天日干して保存食(干し飯)にしたのですね。そして、油で揚げやすくするために平たく伸ばした丸や四角に整形して天日干し。油で揚げることで、今のサクサクのカオタンへと進化したのでしょう。
このカオタンを使ったタイ料理に、カオタン・ナータン (ข้าวตังหน้าตั้ง) があります。カオタンをココナッツミルクを使ったディップソースに付けて食べる料理です。カオタン自体には味がないのです。なお、カオタンを使ったお菓子には、カオタンミヤンラーオがあります。

ウィチット ムクラ シェフが作る鶏肉とエビ入りのカオタンナータンのレシピ動画。ディップソースの中に入れる具材は、豚ひき肉もありです。参考まで。。。
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=LjmJaQ96ihA