プラートゥートムケム (ปลาทูต้มเค็ม) とは、タイ湾に面した地域に古くから伝わる料理で、骨まで食べれるようにじっくりと煮込んだプラートゥーの甘辛煮。プラートゥー (ปลาทู) とは「サバ科に属する和名をグルクマと言う魚の仲間」のこと。トム (ต้ม) は「煮る」、ケム (เค็ม) は「塩っぱい」の意味。日本のサンマや小アジ、イワシなどを骨まで食べれるようにした煮付けに近い料理です。
作り方は、臭み消しに生姜やニンニクを使い、醤油や甘い黒醤油またはナンプラーと砂糖で甘辛くプラートゥーを煮付けにするのです。酸味のあるタマリンドの果肉ジュースを入れたり、唐辛子を入れて辛味を足したりするなど作り手次第でいろいろなレシピがあるようです。作り方がいろいろあるのは、日本人の魚の煮付けと同じです。なお、プラートゥーで有名なメークロン地区のプラートゥートムケムは、プラートゥーサティア (ปลาทูซาเตี๊ยะ) と言い、特殊な作り方のプラートゥートムケム。生姜、パクチーの根、サトウキビやパイナップル、タマリンドの果肉を加え、ナンプラーや黒醤油と砂糖で味付けして煮込むので甘めの味付けです。
以下の写真は、デパートのフードフェスの屋台で見つけたサティアプラートゥーソット (ชาเตี้ยะปลาทูสด)、「生のプラートゥーのサティア」と書いてある屋台。ソット (สด) とは「生/フレッシュ」の意味。呼び名が違ってもプラートゥーサティアのことです。
以下の写真は、この屋台に並んでいるパック詰めのプラートゥーサティアの様子。プラートゥーは頭付き。頭を切り落としたプラートゥーを使うスタイルもあります。
店主に「骨も頭も食べれるか?」と尋ねたところ「全部、食べれる」との返事。早速、買うことに。以下の写真が、テイクアウトしたプラートゥーサティアなのですが、ちょっと形が崩れてしまいました。柔らかく煮込んである証です。
ご飯のおかずには最高ですよ。もちろん、頭の先から尻尾まで全部いただきました。残った煮汁は次の日にご飯にかけて完食。55555 ...
プラートゥートムケムは、タイ湾でプラートゥーがたくさん獲れていた古き良き時代、新鮮なうちに大鍋でたくさんのプラートゥーを調理するアイデアから生まれたようです。しっかり煮込めば数日?は日持ちするらしい。最近はプラートゥーの水揚げは激減、近隣諸国からの輸入に頼っている状況なので、プラートゥートムケムを作る方も減ったのでしょう。バンコクでは、あまり見かけない料理ですが、プラートゥートムケムやプラートゥーサティアを見つけたら、是非、挑戦してみてください。