プラータピアン (ปลาตะเพียน) と言う名前の淡水魚がいます。なお、プラー (ปลา) は「魚」の総称。タイ全土の何処にでも生息しているコイ科の在来種。かつては他の川魚と同様によく食べられていた魚で、古くから養殖も行われていたとのことですが、最近はプラーニンの人気に押されて見かける機会はめっきり減っています。
このプラータピアンを使った伝統的な煮魚料理がプラータピアントムケム (ปลาตะเพียนต้มเค็ม) です。トム (ต้ม) は「煮る」、ケム (เค็ม) は「塩っぱい」の意味。コイ科の魚なので小骨が多いのですが、酸味のあるタマリンドの果肉やソースを使って骨まで食べれるようにじっくりと煮込んでいます。料理名がトムケムで「塩っぱい」意味のケムが付いていますが、実際は醤油とブラウンシュガーを使った甘めの煮付け。
実は、首が折れていることで有名なプラートゥー (ปลาทู) を使ったプラートゥートムケム (ปลาทูต้มเค็ม) と言う料理があるのですが、基本的な作り方は同じなので、詳しくはプラートゥートムケムを参照願います。さらに言えば、プラータピアントムケムとプラートゥートムケムを並べて売っていることが多いのですよ。

さてさて、プラータピアントムケムのお味の方ですが ...
一般的な日本のカレーの煮付けに近いですね。カレーのように身が柔らかい魚です。なお、この料理の最大の醍醐味は子持ちのプラータピアン。故に子持ちカレーの煮付けを食べているような懐かしさを感じることができますよ。鱗も気になりません。頭から尻尾まで全て食べれます。魚の大きさにもよりますが、バンコクなら1匹で100〜120バーツ程度。





忘れ去られた感のある昔の煮魚料理ですが、フードフェスや街中で見かけたら是非挑戦してみてください。タイの魚の煮付けは、日本の魚の煮付けの味に似ているので驚きますよ。

こぼれ話
プラータピアンに興味のある方は、タイ公共放送 (Thai PBS) のプラータピアンの記事を参考にしてください。プラータピアンの写真もあります。
記事 URL:https://www.thaipbs.or.th/news/content/333434
ところで ...
プラータピアンは、何処でも生息できる強い生命力を持っているとのことで、タイでは昔から子供の健康を祈願し、細長くカットしたヤシの葉をプラータピアンの形に編んで赤ちゃんのゆりかごや近くに吊るす風習があります。プラータピアンサーン (ปลาตะเพียนสาน) と呼ばれています。サーン (สาน) とは「編む」の意味。今でも時々、路上で編んで売っている光景を目にします。なお、伝統的な手工芸品でもあり、色付けしたりして豪華に作られたものは装飾品として売っていますよ。
