梨はタイ語でサリー (สาลี่) と言うのだが、中国語の「沙梨」が語源で中国梨や日本梨を含むアジア梨を指すことが多く、西洋梨は英語の「Pear」が語源でルークぺー (ลูกแพร์) またはペー (แพร์) と呼び区別することもある。タイ英語は「R」を発音しないのだ。ちなみに、タイ北部の田舎育ちの我が家の嫁は子供時代に梨を見たことがないらしい。
私の記憶では4〜5年程前からだと思うが、果物店や屋台で赤梨系の大きな韓国梨をよく見かけるようになった。そして、最近になり中国産の青梨系が市場に溢れだした。値段が安い上に甘くて美味しいとのことで凄い勢いで梨の人気が高まっているのだ。

中国産の青梨系には、蜜梨を意味するサリーナムプン (สาลี่น้ำผึ้ง)、黄金梨を意味するサリートーン (สาลี่ทอง)、鴨梨を意味するサリーペット (สาลี่เป็ด) がある。サリーナムプンは上部が多少細くなった楕円形で表皮に茶色いシミや小さな斑点があるが、サリートーンは丸形で表皮に茶色いシミがなく斑点も少ない。サリーペットは雫形なのだが見かけることは少ないようだ。なお、中国産には赤梨系もあるが、韓国産の赤梨系も含めて雪梨を意味するサリーヒマ (สาลี่หิมะ) と呼ばれている。今でも高級品は韓国産の大玉のサリーヒマが多い。そして日本からの輸入梨は超高級品。多分、一番人気はサリートーン。

以下の写真は、スーパーマーケットに並ぶ中国産のサリートーンとサリーヒマ、そして韓国産の大玉のサリーヒマの様子。なお、日本語の帯を掛けてある中国産のサリーヒマがあるのだが止めて欲しいと願う。この日の価格は、サリートーンは4個入りで 99バーツ、サリーヒマは1個 99バーツ、韓国産の大玉のサリーヒマは1個 159バーツ。価格は参考まで ...


以下の写真は、街中の果物屋台の梨の様子。サリーナムプン、サリートーン、サリーヒマが売られている。




ところで ...
以下の写真は、とある朝市の屋台の梨の様子。サリーイープン (สาลี่ญี่ปุ่น) と書いてある。イープン (ญี่ปุ่น) とは「日本」のことなので「日本の梨」の意味になる。表示に誤りや偽りがなければ「日本種の梨」。実は、タイ北部の山岳地帯では日本種の梨の栽培が始まっているのだ。タイには山岳民族を助けるための農業支援を目的とした王室のロイヤルプロジェクト (Royal Project Foundation:โครงการหลวง) があるのだが、その中にサリー (สาลี่) が指定されているからだ。中国産に負けることがないように、タイ産の日本種梨には是非とも頑張ってもらいたいと願う。


最近のスーパーマーケットのフルーツコーナーでは、林檎、葡萄、そして梨のスペースが広く使われている。そうそう、アボカドやキウイもである。タイらしいトロピカルフルーツは何処へ ...
そして、我が家の嫁は安くて美味しいと言ってはサリートーンを買うのである。
こぼれ話
以下の写真の上部が洋梨のルークぺーで下部はリンゴ。洋梨にもいろいろな品種があるのだろうが、あまり見かけない。
