「のしいか」をタイ語でプラームックボット (ปลาหมึกบด) と言います。プラームック (ปลาหมึก) は「イカ」、ボット (บด) とは「挽く/ミンチにする」のような意味。日本の「のしいか」と同じように炙ったスルメをローラーで薄く伸ばして作ります。スルメを炙って「のしいか」にするので「焼く/炙る」のタイ語であるヤーン (ย่าง) を付けてプラームックボットヤーン (ปลาหมึกบดย่าง) とも言います。タイでもスルメは古くから保存食や食材として利用いるのですよ。ちなみに、スルメはプラームックヘーン (ปลาหมึกแห้ง) と言います。ヘーン (แห้ง) は「乾いた」の意味。

私がタイに住み始めた 20年程前は、スルメをぶら下げてプラームックボットをその場で作ってくれる自転車の引き売りを良く見かけたものです。残念ながら今では見かける機会がめっきり減っています。
以下の写真は、アイコンサイアムの1階「SOOK SIAM」にある自転車の引き売りをイメージしたプラームックボットの売り場の様子。看板にはプラームックボットボーラーン (ปลาหมึกบดโบราณ) と書いてあります。ボーラーン (โบราณ) とは「古代/昔ながら」の意味。


写真には電気式の焼き器と手回し式のローラーが写っていますが、本来はスルメを七輪で炙ってからローラーで薄く伸ばして作ります。なお、パームシュガーなどで作ったスイートチリソースにマカームプリアオで酸味を付け、さらに砕いたピーナッツを加えたつけダレで食べるのが一般的。

ところで、最近のコンビニやスーパーマーケットには、このプラームックボットを使ったおつまみがたくさん売っています。その影響もあり自転車の引き売りが減ってきたのでしょうね。


「のしいか」そのままのスタイルもありますが、味を付けたスタイルが多いですね。シロップに唐辛子の粉を入れた漬け汁に浸した後に焼いて仕上げるのです。結構辛いですよ。中には激辛もあります。同じメーカーでも辛さや味違いを用意していることもあります。味を付けた「のしいか」はプラームックオップ (ปลาหมึกอบ) と呼ぶことが多いかも。オップ (อบ) には「炙る/燻製にする」の意味があります。さらに、カリカリに仕上げるスタイルもあり、カリカリの意味のグロープ (กรอบ) を付けてプラームックオップグロープ (ปลาหมึกอบกรอบ) と言います。
我が家で良く買うプラームックオップを紹介してみましょう。
以下の写真はタオトーン (เตาทอง) ブランドのプラームックオップ。嫁が大好きでマヨネーズと日本の醤油を付けて食べるのです。七味は使いません。何故って、プラームックオップ自体が辛いからですね。



以下の写真はスクイディー (สควิดดี้) ブランドのカリカリのプラームックオップグロープ 。私が好きな黄色の箱入りタイプ。筒状に巻いてありカリカリ感が半端ないので簡単に割れてしまいます。結構辛いですね。なお、赤色の箱入りタイプは激辛です。



他のおつまみになりそうなスナック菓子と比べると値段が高いのですが、ビールのおつまみには最高ですね。いろいろなメーカーと種類があるので、機会があればタイの「のしいか」をお試しください。
以下の動画は、プラームックオップグロープのメーカーの作業風景。筒状に巻く方法も分かりますよ。参考まで ...
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=yilnivDThMw
こぼれ話
コンビニやスーパーマーケットにたくさん並んでいるのが Bento (เบนโตะ) ブランドのイカのおやつ。イカと魚をすり身にしてつなぎ粉を混ぜてシート状にしたもの。イカと言うよりタコにしか見えないロゴがあります。パッケージの色の違いは味の違い。基本辛いですよ。

