カノムトゥアイフー タイの可愛らしいピンクの蒸しパン 

カノムトゥアイフー タイのお菓子

街中のお菓子屋台で可愛らしいピンク色の蒸しパンを見かけますよね。カノムトゥアイフー (ขนมถ้วยฟู) と言います。カノム (ขนม) とは「お菓子」、トゥアイ (ถ้วย) とは「小皿/小鉢」、フー (ฟู) とは「フワッと膨らんだ状態」の意味。中華系の蒸しパン「發糕/发糕」が源流のお菓子です。実際、ぐい呑のような器に生地を入れて蒸して作るので、カノムトゥアイフーと呼ぶのでしょう。もっちり感と歯ごたえがあり、甘さ控えめな美味しい蒸しパンです。

お菓子屋台のカノムトゥアイフー
お菓子屋台のカノムトゥアイフー

中国古来/昔ながらの作り方は、米粉が主原料で自家製酵母で発酵させて生地を作るのです。そのため、わずかに酸っぱい匂いがでることがあるので、ジャスミンの香り付けをするとのこと。
今では、それぞれの作り手が工夫を凝らしたレシピがあるでしょうね。サイズや形、色の種類もたくさんありますよ。なお、色付けは、食紅を使っていると考えるべきですね。また、ベーキングパウダーを使っていることも想像できそうです。

カノムトゥアイフーは、もっちり系の蒸しパン
カノムトゥアイフーは、もっちり系の蒸しパン

屋台では、サイズが小さいので幾つかをまとめてパック詰めや袋詰めにして売っているのですが、お祝いごとに使う縁起の良いピンク色のカノムトゥアイフーが多いようにも感じます。

パック詰めのカノムトゥアイフー(20バーツ程度)
パック詰めのカノムトゥアイフー(20バーツ程度)

タイでも中華系の慣習と同じ扱いで、旧正月や結婚式などのお祝い行事やお葬式に使われるお菓子。お祝いごとにはピンク色、お悔やみごとには白色のカノムトゥアイフーが使われます。実際には、お菓子屋台で一年中売っているお菓子で、いろいろな色のカノムトゥアイフーがあります。潮州系華人の多いタイでは、潮州語の「发糕」の発音であるフアクエイ (ฮวกก้วย) とも呼ぶらしい。中華圏では「繁栄/拡大を願う縁起の良いお菓子」のなのです。タイでは、縁起が良いとされるお菓子をカノムモンコン (ขนมมงคล) と言うのですが、カノムトゥアイフーは、その一つに数えられているお菓子でもあります。

カノムトゥアイフー、可愛らしい蒸しパンです。小腹が空いた時などに重宝します。お試しあれ!
なお、翌日になると多少パサパサ感が出るので、買った日に早めに食べることをお薦めします。パサパサ感が出た場合には、蒸し直したり、焼いたりすれば良いでしょう。

その他の蒸しパン ...
ところで、タイには、違う蒸しパンもあります。一般的に紙カップに入っているタイプの蒸しパンは、カノムプイファーイ (ขนมปุ้ยฝ้าย)、大き目のトレイで作り小さく切り分けているタイプの蒸しパンは、カノムサーリー (ขนมสาลี) です。カノムプイファーイとカノムサーリーは、小麦粉が主原料でベーキングパウダーを使用。牛乳や卵を使っているレシピもあるとのことで、ふわふわ系の蒸しパン。

以下の写真は、代表的なカノムプイファーイ。ジャスミンやバニラの香りがあり、頭部に綺麗な割れ目があるのが特徴。このカノムプイファーイもお菓子屋台で良く見かけますよ。

紙カップに入っているカノムプイファーイ
紙カップに入っているカノムプイファーイ

以下の写真は、カノムサーリー。スパンブリー県の有名なお菓子とのこと。一般的にカノムプイファイよりも固めの食感のものが多く、いろいろな種類があるとのこと。紙カップの制限がないので、大きいサイズから小さく切り分けたタイプまであります。

サイズが大きいカノムサーリー
サイズが大きいカノムサーリー

時代とともに材料も作り方も見た目も味も食感も変わってきています。そのため、これら3種の違いの線引きが難しいようです。特に、カノムトゥアイフーとカノムプイファーイは、同じものと認識しているタイ人も多いとのこと。

こぼれ話
以下の写真は、春節(中国の旧正月)の時のバンコクのチャイナタウン、ヤワラーの様子。至る所で潮州スタイルの发糕/カノムトゥアイフーを見かけることができます。

ヤワラーの街中の潮州スタイルのカノムトゥアイフーの様子
ヤワラーの街中の潮州スタイルのカノムトゥアイフーの様子
巨大な潮州スタイルのカノムトゥアイフー
巨大な潮州スタイルのカノムトゥアイフー
鯉の形のカノムトゥアイフー
鯉の形のカノムトゥアイフー

なお、オウギヤシの完熟した黄色い果肉を混ぜて作った蒸しパンは、カノムターンと言います。