カノムジーンハイラム うどんのようなカノムジーン(タイの海南粉)

カノムジーンハイラムのアイキャッチ タイ料理

タイの海南料理と言えば、海南鶏飯のカオマンガイ (ข้าวมันไก่) が有名ですが、海南粉を源流に持つカノムジーンハイラム (ขนมจีนไหหลำ) もあります。ハイラム (ไหหลำ) とは「海南」のこと。カノムジーン (ขนมจีน) は、米粉から作る麺で「そうめん」のように細いのですが、同じ米粉から作る麺でもカノムジーンハイラムは「うどん」のように太いのですよ。昔は海南粉の発音であるハイラムフン (ไหหนำฮุ้น) と呼んでいたようですが、ハイラムスタイルのカノムジーンとのことで、カノムジーンハイラムと呼び名が変わったようです。タイではカノムジーンの方が通りが良いからでしょう。

以下の写真は、中華系コミニュティの強い地区の屋台で売っているカノムジーンハイラムの様子。カノムジーンと一緒に売っています。

カノムジーンハイラムを売っている屋台の様子
カノムジーンハイラムを売っている屋台の様子
左上のカノムジーンと中央のカノムジーンハイラム
左上のカノムジーンと中央のカノムジーンハイラム
「うどん」のようなカノムジーンハイラムの様子
「うどん」のようなカノムジーンハイラムの様子

麺料理としてのカノムジーンハイラムですが、もともとは牛肉を使った海南牛肉粉だったようですが、後に豚肉のスタイルもメニューに加えられたとのこと。牛肉を食べないタイ人もいるからでしょう。

さてさて、バンコクでもカノムジーンハイラムの専門店は少ないようです。今回は「カノムジーンハイラム ジャルンナコン19」(Hainan Rice Noodles ,Charoen nakorn 19:ขนมจีนไหหลำ เจริญนคร19) のカノムジーンハイラムを例にして紹介します。以下、Facebook の URL です。
Facebook URL:https://www.facebook.com/ขนมจีนไหหลำ-เจริญนคร19-Hainan-Rice-Noodles-Charoen-nakorn-19-100049981933844/

カノムジーンハイラム ジャルンナコン19の店の様子
カノムジーンハイラム ジャルンナコン19の店の様子

以下の写真がメニュー。オリジナルのカノムジーンハイラムは、猪肉(豚肉)または牛肉、そしてスープスタイル(湯)とスープなしスタイル(醤)の組み合わせの4種類です。スープスタイルは透明なスープを使い、スープなしスタイルは独特なとろみのあるソースを使います。

カノムジーンハイラム ジャルンナコン19 のメニュー
カノムジーンハイラム ジャルンナコン19 のメニュー

以下の写真は、スープなしスタイル「牛肉-醤」のカノムジーンハイラム ・ヌア・ヘーン (ขนมจีนไหหลำเนื้อแห้ง) です。ヌア (เนื้อ) は「牛肉」、ヘーン (แห้ง) は「乾いた/汁なし」の意味。

カノムジーンハイラム ・ヌア・ヘーンの様子
カノムジーンハイラム ・ヌア・ヘーンの様子

タイの「醤」のソースの作り方は、西洋のビーフシチューの影響を受けていて中華スタイルの作り方とのフュージョンらしいのです。なお、純粋な中華スタイルの作り方を受け継いでいる店もあるでしょう。店毎に秘伝のレシピがあるのでしょうね。中に入れる具は、しっかり煮込んだ牛肉の角煮(ビーフシチュー風)と茹でた牛肉のスライス、タケノコ、タイの高菜の漬物のパッカードーン、ピーナッツ、白ゴマなどが入っています。飾りにはパクチー。もちろん、入れる具材は店により違いがあります。

カノムジーンハイラムの麺にソースが絡んだ様子
カノムジーンハイラムの麺にソースが絡んだ様子
中に入っている具の様子
中に入っている具の様子
とろみのある「醤」のソースの様子
とろみのある「醤」のソースの様子

特徴的なのが、テーブルの上の調味料セットの中にガピクーイ (กะปิเคย) なるオキアミのガピの調味料があるのですよ。ガピの旨味を足すことができますが、非常に塩っぱいので注意してください。「醤」のソースの中にも入っているはずで酸味があります。

調味料セットの中のガピクーイなるオキアミのガピ
調味料セットの中のガピクーイなるオキアミのガピ
ガピクーイの様子
ガピクーイの様子

以下の写真は「猪肉-醤」のカノムジーンハイラム ・ムー・ヘーン (ขนมจีนไหหลำหมูแห้ง) です。ムー (หมู) は「豚肉」の意味。このソースは牛肉の「醤」より軽いですね。

「猪肉-醤」のカノムジーンハイラム ・ムー・ヘーン
「猪肉-醤」のカノムジーンハイラム ・ムー・ヘーン

以下の写真のようなつけダレ用の小皿が用意されているなら、テーブルの上のガピクーイと他の調味料で自分好みのつけダレを作ることができます。このシステムはガオラオルアットムーと同じです。中に入っている肉をつけダレで食べることもできるのです。味変にもなります。

つけダレ用の小皿
つけダレ用の小皿

なお、スープスタイルは、ヘーンに対してナームと言います。ナーム (น้ำ) とは「水」のこと。私はスープスタイルを食べたことがありません。クイジャップの麺をカノムジーンハイラムの麺に代えたようなものだと勝手に思っているからです。この店には、他にシーフード系もあり、メニューは豊富な店ですね。

私のカノムジーンハイラムのオススメは、牛肉のカノムジーンハイラム ・ヌア・ヘーンです。どちらかと言えば、あっさりしている味で、コショウの風味がありますが辛くはありません。うどんのようなカノムジーンハイラムに絡む「醤」のソースが良く考えられています。細麺とスープ系の組み合わせのカノムジーンとは別なおもしろ味のある麺料理です。もし、見つけたら挑戦してみてください。

こぼれ話
作り手次第でしょうが、カノムジーンハイラムの麺、本場の讃岐うどんのようなコシはありませんが、そこそこのコシがあります。たぶん、タピオカ粉を多目に混ぜているからでしょう。かつて、スーパーマーケットで売っていた日本語で「うどん」と書いてあるヘタヘタのナンチャッテうどんよりもコシがあり美味しいですよ。今もあるかもしれませんが? カノムジーンやセンヤイ、パッタイの麺もしかり、すべては作り手次第であり、茹で加減次第です。タイに長く住んでいると、ありえないようなクイッティアオに遭遇したこともあります。有名な店でもですよ。

カノムジーンハイラム ジャルンナコン19の麺の様子
カノムジーンハイラム ジャルンナコン19の麺の様子

なお、タイには他にもうどんのような麺があります。潮州系の尖米丸を源流にもつギアムイー (เกี้ยมอี๋) です。カノムジーンハイラムの麺を短くして、先を尖らしたロートチョン (ลอดช่อง) のようなスタイル。
そうそう、海南牛肉粉を参考にしたのだろうと言われている麺料理がクイッティアオルアですね。だから、クイッティアオルアには牛肉が使われているのです。