チムチュム (จิ้มจุ่ม) のチム (จิ้ม) は『ソースなどにつける』、チュム (จุ่ม) は『液体の中に浸す』のような意味。チムチュムとは、ハーブの効いた「だしスープ」でスライスした豚肉をメインとした肉類やいろいろな野菜、春雨などを煮ながら、つけダレで食べるイサーン地方の鍋料理のこと。なお、ムーチュム (หมูจุ่ม) なる呼び名もあります。 ムー (หมู) とは「豚肉」のこと。
一般的には卓上七輪とセットになったモーディンチムチュム (หม้อดินจิ้มจุ่ม) なる専用の素焼きの土鍋を使います。モーディン (หม้อดิน) とは「土鍋」を指し、正確にはモーディンパオ (หม้อดินเผา) で「土を焼いた鍋」の意味。
チムチュムの最大の特徴は豚ガラベースの「だしスープ」にあります。タイ生姜のガランガルのカー (ข่า)、レモングラスのタックライ (ตะไคร้)、コブミカンの葉のバイマックルー (ใบมะกรูด) などのハーブが入っているので、煮えた肉に独特の香りと風味が加わるのですね。ナムチムジェオ (น้ำจิ้มแจ่ว) なるイサーン地方のつけダレでいただくのですが、最近はタイスキのつけダレであるナムチムスキー (น้ำจิ้มสุกี้) を出す店もあります。両方用意している店なら、ナムチムジェオは辛味が強いのが一般的。ナムチム (น้ำจิ้ม) とは「つけダレ」のこと。
バンコクでは、イサーン料理店やチムチュム専門店、さらに屋台でも食べることができます。チムチュムのシステムと食べ方を簡単に説明します。
システムは店により異なりますが、L/M/Sなどの人数に合わせた肉と野菜盛り合わせの基本セットがあり、さらに肉の種類が選択できることもあります。単品/追加注文で、豚肉/鶏肉/牛肉や内臓系、さらにイカやエビのシーフードを用意している店もあります。なお、牛肉はタイ産でしょうね。
以下の写真は、シーフードを加えた盛り合わせセットと単品/追加注文のお皿の様子。
以下の写真は、基本セットの野菜の盛り合わせと春雨の様子。白菜や空芯菜と他の野菜が入っていますが、内容は店により違いがあります。
もし、タイバジルのホーラパ- (โหระพา) が入っていたら、茎から葉を外して葉のみを鍋に入れます。茎は食べません。ホーラパ-や茎の細いタイセロリのクンチャーイ (ขึ้นฉ่าย) などのハーブ系野菜があれば先に鍋に入れることをオススメします。なお、全ての野菜は食べやす大きさに手で千切って入れるのが基本。
もし、メインの食材に割った生卵が乗っていれば、生卵と混ぜ合わせてから鍋に入れるのが基本。割っていない生卵が付いているなら、溶き卵にしてスープに流し入れて卵とじもあり。お好きなように ...
なお、生食可能な卵ではないので注意してください。
春雨は、穴の空いているお玉に入れて茹でます。春雨がバラバラにならない工夫ですね。シーフード系などあまり火を通したくない場合にも穴の空いているお玉が重宝します。
食べる量を鍋に入れては、煮えた順に食べるスタイル。取り皿とスープ皿が用意されているので自由に使ってください。つけダレに直接つけるも良し、取り皿やスープ皿につけダレを掛けるも良し ... タイスキの経験がある方ならタイスキと同じですね。そうそう、ハーブの効いたスープが美味しいので、残ったスープもしっかりいただきましょう。
最近は、タイスキの MKレストランなどに押されているのだろうか、チムチュム屋台を目にする機会が減っているように感じます。夜の屋台でチムチュムの鍋をつつきながらの一杯も良いものです。MKでは味わえませんね。機会があれば、チムチュム屋台に挑戦してみてください。
なお、タイスキとの違いは、ハーブの効いた「だしスープ」にあります。
こぼれ話
だしスープに入るガランガルのカー、レモングラスのタックライ、コブミカンの葉のバイマックルーの組み合わせは、トムヤムクンやトムカーガイのスープに使うハーブと同じ。ハーブ系スープの基本のハーブなのです。タラートの八百屋で売っているハーブセットが使えます。
タイでは豚ガラが簡単に買えます。チムチュム風の鍋を自宅で楽しむのも面白いですよ。
豚ガラスープは、以下のスップグラドゥークムーを参考にしてください。面倒な方は「Knorr Cube Soup Suki Shabu」で ...