タイの大根事情とチャイポーの話

ダイコン タイの食材


大根はタイ語でフアチャイターオ (หัวไชเท้า) と言います。他にもフアパッカー (หัวผักกาด) やパッカーフア (ผักกาดหัว) などの呼び名もあるようです。
ここ数年、我が家の近くの八百屋の大根は、以前と比べてサイズが大きくなり、スタイルも良くなったと感じていたのですが ...
バンコクから外れた、とある大きなタラートの大根は、何とナント ... 私がタイに住み始めた十数年前の大根の姿そのままだったのですよ。
以下の写真は、とある大きなタラートの八百屋の大根の様子。人参と比べてどうなのよ?? とても貧弱に見えませんか? 十数年前の人参も酷い有様だったのですが、今では立派に大変身。「タイの人参事情」参照。

小さいダイコン 大根と人参、比べてどうなのよ?
大根と人参、比べてどうなのよ?

以下の写真も、とある大きなタラートの別な八百屋のキャベツと大根の様子。大根が 10バーツにはオドロキではありますが ... 十数年前のキャベツも酷い有様だったのですが、今では立派に大変身。

小さいダイコン 大根とキャベツ、比べてどうなのよ?
大根とキャベツ、比べてどうなのよ?

以下の写真は、我が家の近所の八百屋で買った大根と人参の様子。バットのサイズは、21.5cm です。

我が家の近所の八百屋で買った大根と人参の様子
我が家の近所の八百屋で買った大根と人参の様子

以下の写真は、近所のスーパーマーケットの大根なのですが、値段が高い上に鮮度が低いので敬遠してしまうのですが ...

近所のスーパーマーケットの大根の様子
近所のスーパーマーケットの大根の様子

大根農家の技術的問題なのだろうか?バンコクでは品質の良いもだけが流通しているのだろうか?そもそも品種が違うのだろうか? ... サイズもスタイルの良し悪しも、相当に違いがありますよね。
タイには、農作物などでタイの北部地方の山岳民族を助けるための王室プロジェクトがあり、日本も関わっていたことがあります。この王室プロジェクトの成果と思われますが、最近のタイの野菜は見違える程に良くなっているのですが???

さてさて ...
タイでは大根を使ったタイ料理はあまり見かけません。
生の大根を使った料理と言えば、トムチャプチャイ (ต้มจับฉ่าย) と言われる野菜の煮込みスープくらいだろうか? トム (ต้ม) とは「煮る」の意味でスープ系の料理名によく使われます。チャプチャイ (จับฉ่าย) とは、潮州語の杂菜/雜菜 (zabcai) の発音らしい。トムチャプチャイとは、いろいろな野菜を使った醤油ベースの中華風煮込みスープのこと。一般的には骨付きの豚肉などと複数種の野菜が使われるスープですが、大根が入るレシピもあります。そうそう、バミー (บะหมี่) と呼ばれる中華麺の専門店のスープは、豚ガラと一緒に大根が入っていることが多いですね。バミーヘーン (บะหมี่แห้ง) を注文すると付いてくるスープです。

生の大根より干し大根や漬物などに加工した大根を利用する方が多いですね。加工品には、日本の切り干し大根のように切ってから天日に干しただけのフアチャイターオヘーン (หัวไชเท้าแห้ง) がありますが、一般的には、塩押し後に塩振りして天日干し(丸干し)した大根のチャイポー (ไชโป๊ว) を利用します。チャイポーも潮州語の菜脯 (caibou) の発音らしい。ヘーン (แห้ง) とは「乾いた」の意味。塩っぱい味のままならチャイポー・ケム (ไชโป๊วเค็ม) と言います。ケム (เค็ม) とは「塩っぱい」の意味。このチャイポー・ケムを砂糖水に漬けて甘味を足すと、チャイポー・ワーン (ไชโป๊วหวาน) に変身するのです。ワーン (หวาน) とは「甘い」の意味。そうそう、チャイポー・ケムを細切りやみじん切りしてから、ワーンにするのもあり。今では、スーパーマーケットには、丸干しタイプや細切りタイプ、メーカーによってはいろいろなタイプのチャイポー・ワーンがあります。
以下の写真は、ตราชฎา (Chada Brand) のチャイポー・ワーン。緑のどんぶりマークがあります。
Web Site:https://www.chadabrand.com/ 参考まで。

丸干しタイプのチャイポー・ワーン
丸干しタイプのチャイポー・ワーン
細切りタイプのチャイポー・ワーン
細切りタイプのチャイポー・ワーン

タイでは、丸干しのチャイポー・ワーンを細切りやみじん切りにして利用することが多いですね。このチャイポー・ワーンを使った代表的な料理が、チャイポーパットカイ (ไชโป้วผัดไข่) です。細切りや食べやすいサイズに切ったチャイポー・ワーンと卵を炒め、甘めに味付けした料理です。ぶっかけ飯屋/おかず屋台で見かける料理です。なお、タイでは中華系料理に分類されるお粥には欠かせないアイテムのようでカオトム屋台には間違いなくある料理ですね。

左のおかずがチャイポー・パットカイ、そしてお粥のカオトム
左のおかずがチャイポー・パットカイ、そしてお粥のカオトム

さらに、チャイポー・ワーンは、カオクリアップ・パークモーサークーサイムーのお菓子の具材にも使われています。

そう言えば、パッタイにもチャイポーが使われますね。チャイポー・ワーンまたはチャイポー・ケムのみじん切り。生エビを使ったようなちょっと高級感のあるパッタイなどには入っていないと思うのですが?? 作り手次第でしょうね。

こぼれ話
潮州語で大根は「菜頭」とのこと。タイ語で大根は、フア・パッカー (หัวผักกาด) とも言いますよね。
フア (หัว) とは「頭」のこと。パッカー (ผักกาด) とはアブラナ科の野菜の総称です。大根はアブラナ科ダイコン属。タイは潮州系華人が多いのです。そして、大根は中国からの外来野菜のようです。そのせいなのか、タイでは中華系の料理に使われることが多いと思います。