カオソーイ (ข้าวซอย) とは、タイ北部地方で食べられている「小麦粉で作られた平打ちの卵麺を使った麺料理」の総称。平打ちの卵麺は、料理名と区別する上でセンカオソーイ (เส้นข้าวซอย) と呼びます。セン (เส้น) とは「麺」のこと。ちなみに、カオソーイの語源は、小麦 (ข้าวสาลี:カオサーリー) の粉で作ったシート状の麺生地をカット (ソーイ:ซอย) して作った切麺だからかな??
タイ北部地方のカオソーイとは
伝統的なタイ北部のカオソーイは、ココナッツミルクが入っていない透明なスープであるナムサイ (น้ำใส) が基本。豚ひき肉のトマト炒めが入っているカオソーイナムクア (ข้าวซอยน้ำคั่ว)、キワタの花の乾燥雄しべが入っているカオソーイナムギャオ (ข้าวซอยน้ำเงี้ยว) などのカオソイがあります。中国雲南省と接するラオス、ミャンマー、タイの地域で交易を行っていた雲南系のムスリム族(タイ語:ホー族)が持ち込んだ麺料理が源流とのこと。この源流に近いカオソーイは、カオソーイホー (ข้าวซอยฮ่อ) と呼ばれているらしい。
ところで、タイ北部地方で人気がある麺料理は、カオソーイの麺より米粉の麺のカノムジーン (ขนมจีน) を使ったカノムジーンナムギャオ (ขนมจีนน้ำเงี้ยว) かもしれませんよ。バンコクでも人気の麺料理です。この麺をカオソーイの麺に代えれば、カオソーイナムギャオでしょう。
カオソーイチェンマイとは
大東亜戦争が始まった頃のチェンマイでは ...
とあるカオソーイ店の「パンさん (นายปัน)」なる人物が試行錯誤の末「ココナッツミルク+タイ北部のカレーペースト」の新しいスタイルのカオソーイレシピを開発したとのこと。このカオソーイが非常に人気を呼びチェンマイの人々のカオソーイの定番レシピとなったとのこと。その後、チェンマイに住むホー族のカオソーイ店でも「パンさん」のカオソーイレシピで販売するようになり、ホー族のムスリム文化/ムスリムコミニュティと相まって、現在のようなカオソーイチェンマイのスタイルに至ったとのこと。
[参考資料:タイ経済新聞のクルンテープトゥラギット (กรุงเทพธุรกิจ) のカオソーイの記事]
チェンマイスタイルのカオソーイなので、他のカオソーイと区別するためにカオソーイチェンマイ (ข้าวซอยเชียงใหม่) と呼ぶこともあります。
いろいろあるカオソーイの中で、テイストアトラス (Taste Atlas) で絶賛され世界的に有名になったのがたこのチェンマイ発のカオソーイです。そして、現在では多くの方がカオソーイチェンマイをカオソーイと理解しているようです。ココナッツミルクで煮込んだ鶏肉 (ガイ:ไก่) が入ればカオソーイガイ、豚肉 (ムー:หมู) が入ればカオソーイムーです。ただし、ムスリム系の方は豚肉は食べません。
スープは、ココナッツミルクにカオソーイペーストやレッドカレーペーストなどとカレー粉を加えて作るので、ムスリム系のマッサマンカレーに非常に似た風味です。このスープは一般的なマッサマンカレーよりココナッツミルクが薄いらしいのですが、そこは作り手/作り方次第でしょう。ココナッツミルクをふんだんに使うバンコクを含むタイ中部/南部などではマッサマンカレーのカオソーイかもしれませんね。マッサマンカレーとカオソーイの両方を提供している店もありますよ。私はマッサマンカレーが大好きなのでマッサマンカレーのカオソーイも大歓迎です。
麺のセンカオソーイは、半分弱程度は油で揚げ、残りは茹でた麺を使うことが一般的。
トッピングは、タイの高菜の酢漬け (パッカードーン:ผักกาดดอง)、エシャロット (ホームデーン:หอมแดง)、そしてマナーオ (มะนาว) が多いようです。辛味の調整に唐辛子を油で炒めたナムプリックパオ (น้ำพริกเผา) やプリックパットナムマン (พริกผัดน้ำมัน) を使います。
カオソーイチェンマイは、ココナッツミルクとカレーの風味の調和が面白いですね。それほど辛くないし、日本人にも親しみやすい麺料理です。タイの麺料理は一般的にボーリュームがありません。もし、食べ足りないなら、白いご飯を注文するのもあり。カオソーイチェンマイのスープをご飯にかければ、マッサマンカレーに早変わり。もし、カノムジーンがあれば、カノムジーンもあり。