お菓子屋台ではプラ容器入りの定番のお菓子、カラフルな色の花が咲いているようにも見える可愛らしいお菓子です。カノムナムドークマイ (ขนมน้ำดอกไม้) と言います。カノム (ขนม) は「お菓子」、ナム (น้ำ) は「水」、ドークマイ (ดอกไม้) は「花」のこと。だから、カノムナムドークマイは「花の水のお菓子」の意味になるのです。ナムドークマイ(花の水)とは「ジャスミンの花の香りが移った水」のこと。ざっくり言えば、このナムドークマイを使った米粉の蒸し菓子がカノムナムドークマイ。ほんのり甘くてジャスミンの香りが漂う、もちもちの食感のあるタイの伝統的なお菓子です。ういろうのような食感です。
最近の作り方は非常にシンプル。米粉に少量のタピオカ粉を混ぜた粉を水で溶いて、グラニュー糖で甘味を付け、好きな色の食品着色料とジャスミンの食品香料を加えた緩い生地を作ります。ぐい呑のような器に生地を流し入れ、蒸し器で蒸し上げれば完成。なお、真ん中の窪みは、蒸し工程の中で自然に出来たものです。食品着色料はもちろんですが、ジャスミンの食品香料もスーパーマーケットで売ってます。タイ語でグリンマリ (กลิ่นมะลิ) と言います。
しからば、昔ながらの作り方は ...
水に本物のジャスミンの花を浮かべてその香りを水に移し、パンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁で緑色、チョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁で青色 ... など天然の材料で色付け。またタピオカ粉は使わずにタオヤイモム粉 (ペンタオヤイモム:แป้งท้าวยายม่อม) を使っていたのです。タオヤイモム粉は、生産量が減少しているので入手が難しく高価なので代用品としてタピオカ粉が使われるようになったのですよ。
以下の写真がぐい呑のような器。タイ語でトゥアイタラーイ (ถ้วยตะไล) と言います。タイのお菓子作りには欠かすことができないアイテムで、ぐい呑スタイルと醤油皿スタイルがあります。Shopee などの通販でも買えますね。
以下の写真は、お菓子屋台に並べてあるプラ容器入りのカノムナムドークマイの様子。何処の屋台でも同じような色と形をしています。形が似ているのは同じようなトゥアイタラーイで作っているからでしょう。屋台により入っている数と値段が違います。今のバンコクなら 20バーツから 30バーツ程度と思います。
以下の写真が’購入したカノムナムドークマイのパック詰め。18個入りで20バーツ也。
作り手によりジャスミンの香りの強さ、甘味、食感に多少の違いがあります。私は硬めの食感のカノムナムドークマイが好きです。なお、冷蔵庫で冷やすと硬くなります。材料と作り方から想像できると思いますが、昔ながらの素朴なお菓子です。
ところで、表面に窪みがあることからカノムチャックナー (ขนมชักหน้า) とも呼ばれています。チャック (ชัก) とは「引っ張る」、ナー (หน้า) とは「顔/表面」の意味。
こぼれ話
他にもぐい呑スタイルのトゥアイタラーイを使ったお菓子がありますよ。
まずは、似たような見た目と食感のカノムキクアイ (ขนมกี่ก้วย)、潮州系華人の伝統的なお菓子です。
次に、蒸しパンのカノムトゥアイフー (ขนมถ้วยฟู)、もっちり感と歯ごたえがあり、甘さ控えめな美味しい蒸しパンです。
醤油皿スタイルのトゥアイタラーイを使ったお菓子はたくさんありますが、その代表と言えば、カノムトゥアイ (ขนมถ้วย) でしょう。