ゲーンハンレー (แกงฮังเล) のゲーン (แกง) とは「煮込み料理」の総称。一般的に「カレー」と訳されるのでハンレーカレー。使う肉は何でもありですが、絶対人気は大きめにカットした豚のバラ肉や肩ロースをとろとろになるまでじっくり煮込んだ角煮スタイル。北部地方の代表的なカレーなのですよ。

作り方の概要と特徴をまとめてみます。
まず、大きめにカットした豚肉にレッドカレー系のハンレーペースト、普通のタイ醤油のシーユーカオ (ซีอิ๊วขาว)、塩、カレー粉を加え、しっかり練り込んで1時間程度休ませて置きます。その後、休ませて置いた肉を鍋やフライパンに移し、香りが立つまで軽く炒め、煮込み用の水、酸味のあるタマリンドソースのナムマカームピアック、ニンニクの酢漬けのガティアムドーン (กระเทียมดอง) の漬け汁、シーユーカオ、少量の甘い黒醤油のシーユーダムワーン (ซีอิ้วดำหวาน) 、炒ったピーナッツを加えて1時間程度煮込みます。その後、ブラウンシュガー、千切り生姜、ニンニクの酢漬けのニンニクを加え、肉がとろとろになるまで2時間程度煮込んで完成。なお、エシャロットのホームデーン (หอมแดง) を加えるのもあり。

作り方の概要から分かる特徴は、他のカレーとは違いココナッツミルクとナンプラーは使いません。そして、酸味にタマリンドソースとニンニクの酢漬けを使います。生姜の千切りと炒ったピーナッツを入れること。
他のカレーと比べると、煮込み時間が長くナムマカームピアックが入ることで、とろみのある濃厚なルーに仕上がるのです。酸味、塩味、甘味のある味わいで、さほど辛くないカレーです。
ところで ...
初めて食べる方は、マッサマンカレーに似ている味わいと感じるかもしれませんね。マッサマンは鶏肉ベースの南部のマイルドなカレー、ハンレーは豚肉ベースの北部のこってり濃厚なカレー。ハンレーは、バンコクでは北部料理系のレストランで食べれます。美味しいハンレーに出会えれば虜になるかもしれませんよ。機会があればマッサマンと食べ比べてみるのも面白いでしょう。
ハンレーは白いご飯でもよいのですが、やはりカオニャオがベスト。ルーをしっかり絡めて食べましょう。

こぼれ話
かつてタイ北部にあったラーンナー王朝。その支配下にあった北部地域の食文化では、ナンプラーは好まれていないのです。そのため、伝統的な調理法を継承している北部料理にはナンプラーは使われていないのです。我が家の嫁は北部地方の出身。今でも嫁の実家にナンプラーは置いていないと思います。