ドリアンはタイ語でトゥリアン (ทุเรียน) ですがドリアンでも通じます。ドリアンには幾つかの品種があり風味も価格も違うし好みも様々。加えて熟度の好みも様々。ドリアンの熟度の話をしてみます。
ドリアンは熟度が進むと硬い果肉から柔らかい果肉へと変化するので食感に違いがでます。さらに匂いや甘さも違ってきます。熟度の好みには個人差があり、そして自分好みの熟度にこだわりを持つ方が多いのがドリアンの面白いところでしょう。パック詰めの剥き身なら果肉に触れ、果実丸ごとでも果皮に三角窓を切ってもらえるので果肉に触れることはできますが、それでも自分好みの熟度の判別が難しいのがドリアン。なお、スタッフが先端にゴムが付いている棒でドリアンを叩くのは熟度のチェック。硬くて鈍い音がするなら未熟、空洞音のような柔らかい音がするなら熟しているとのことで、この音の違いを聞き分けてチェックしているのです。

さてさて ...
タイには、ヌアガイチーク (เนื้อไก่ฉีก) とう言うドリアン用語があります。ヌア (เนื้อ) は「肉」、ガイ (ไก่) は「鶏」、チーク (ฉีก) は「紙などを破る/ちぎる/引き裂く」のような意味。火の通った鶏の胸肉は繊維に沿って裂くことができますよね。そう、ドリアンの果肉を鶏の胸肉のように裂くことができる熟度を指す言葉なのです。同胞諸君はタイ人は硬めが好きと聞いたことがあると思いますが、ヌアガイチークのドリアンを買うタイ人は多いのですよ。ところで、ドリアンに関する日本のサイトでは「クリーミー、カスタードクリーム」のようなワードがありますね。多分、多くの同胞諸君も柔らかめが好みなのではと想像しています。かくいう私も、以前は柔らかめが好み。しか〜し ... 最近は柔らかめから卒業。タイ人の嗜好に近づいたようです。
ちょっと、ここで ...
ドリアンの熟度を4段階に分ける表現があるので紹介します。ただし、各段階との境界線は人により違いがあるので悪しからず ...
1.ヌアガイチーク (เนื้อไก่ฉีก)
「鶏の胸肉のように裂くことができる」の意味の熟度。果肉を押すと硬く感じます。ナイフで綺麗にカットできます。種と果肉が綺麗に別れます。食べるときに手が汚れることはありません。カリカリ感がある食感で甘いですが甘すぎず、ドリアンの香りは感じる程度。
2.ヌアグロープノークヌムナイ (เนื้อกรอบนอกนุ่มใน)
「外は硬く中は柔らかい」の意味の熟度。果肉を裂くことができますが、ヌアガイチークより柔らかく感じます。ナイフで綺麗にカットできます。種と果肉が綺麗に別れます。食べるときに手が汚れることはありません。外はカリカリ感が多少残っていますが、中は柔らかい食感。上品なドリアンの香りが漂い、甘味とドリアンの繊維が感じられます。タイ人が好む熟度かもしれません。
3.ヌアポーディーキン (เนื้อพอดีกิน)
ヌアポーディー (เนื้อพอดี) とも言います。「食べるにはちょうど良い」の意味の熟度。押してみると柔らかさを感じ、ドリアン特有の香りがします。とても甘くて、ねっとり感やクリーミー感があります。ナイフでカットすると刃に果肉が付いてきます。食べるときに手が汚れることがあり、種と果肉が綺麗に別れないので種をしゃぶることになるかもしれませんね。
4.ヌアヌム (เนื้อนุ่ม)
「柔らい肉」の意味の熟度。匂いは強力ですが非常に甘みがあります。「カスタードクリーム」とはこの状態なのかもしれませんね。 手で持って食べるのが難しいこともあります。なお、柔らかすぎるとヌアパラー (เนื้อปลาร้า) と呼ぶこともあります。ナンプラーを作る工程で非常に柔らかくなった魚肉に喩えているのです。ココナッツミルクにドリアンとカオニャオが入っている「カオニャオトゥリアン」や練乳と混ぜたアイスクリーム、牛乳で作るドリアンスムージーなどに使われることが多いでしょう。
次は ...
街中の屋台でも簡単に見つかるのが「黄金の枕」の意味のモントーンなので、モントーンの熟度のイメージ写真を紹介してみます。大玉の丸ごと買いの様子です。なお、大玉のドリアンの場合は房により熟度にバラツキがでることがあります。
以下の写真は「食べるにはちょうど良い」の熟度のヌアポーディーキンの様子。強く押したり手で握ったりすると凹み跡が残る程に柔らかいのです。



以下の写真は「外は硬く中は柔らかい」の熟度のヌアグロープノークヌムナイの様子。ヌアポーディーキンと比べると外側にパサツキ感と硬さを感じます。果肉には鶏の胸肉の繊維のような状態が見て取れます。




ところで、一度柔らかくなったドリアンは当然元には戻りません。だから、ヌアガイチークを買い、自分好みの熟度になるまで待てば良いと考える方がいても不思議はないですよね。ただし、追熟している間、部屋中に漂う匂いと食べたい欲求との戦いになりますが 55555 ...
ドリアンを買う時に、店のスッタフに4段階に分ける言葉を伝えてください。お好みの熟度のドリアンを選んで貰えると思います。柔らかめ派と硬め派がありますが、貴方はどっち派? 最近の私は「外は硬く中は柔らかい」ヌアグロープノークヌムナイ派です。
ドリアンを食べ慣れていない方は、どの熟度のドリアンを食べたかにより美味しさの評価に違いがでると思います。品種違いの味の評価以前の話かもしれませんね。ちなみに、タイのドリアンだけでも多くの品種があります。代表的な人気の品種は、モントーン (หมอนทอง)、ガンヤーオ (ก้านยาว)、チャニー (ชะนี) でしょう。他にもクラドゥム (กระดุม)、プアンマニー (พวงมณี)、ノックイップ (นกหยิบ)、ラップレー (ลับแล) などなど ...


こぼれ話
果実丸ごと売りのドリアンの価格は、果実全体の重さに対するキロ単価です。他の果物と違い街中の屋台とスーパーマーケットで大きな価格差はありません。今年のモントーンのキロ単価はバンコクなら 160バーツ〜180バーツが相場かな。ただし、産地や品質によっては相当高いこともあります。なお、可食部のみのキロ単価はどのくらいなのだろうと考える方もいると思います。モントーンなら可食部の重量割合は 40%弱。個体差もあるのであくまでもザックリ。よって、可食部の割合を 40%、キロ単価を 180バーツで計算すると、可食部のみのキロ単価は 450バーツとなりますね。

我が家の嫁は基本5kg以上の大玉狙い。大きな果肉にかぶりつくのが至福の時のようです。行きつけのドリアン屋台の今年のモントーンのキロ単価は 180バーツなので、支払い額は 1,000バーツ前後になります。今年は既に食べ過ぎ警報が発令。ズボンがきつい。ドリアンは高カロリーなので食べ過ぎにはご注意ください。

パック詰めの剥き身ドリアンは、屋台でもスーパーマーケットでも価格が書いてあります。スーパーマーケットのプライスシールにはキロ単価が書いてあるので確認できますが、剥き身の方がキロ単価は高いでしょう。なお、高級感のある売り方をして冷蔵ケースに剥き身を並べている場合は量り売りかな。
以下の写真は高品質のドリアンの名産地であるチャンタブリー産モントーンの剥き身ドリアンの販売風景。100gあたり 75バーツと書いてあるのでキロ単価は 750バーツ。チャンタブリー産のモントーンは価格が高い場合もありますが非常に美味しいですよ。なお、高級ドリアンを見たい方は、パラゴンやオートーコー市場へどうぞ!ビックリするドリアンがありますよ。

そうそう、タイでは昔からトゥリアンを食べて熱くなった体は、マンクットを食べれば冷やすことができると考えられているのです。マンクットとは「マンゴスチン」のこと。
興味のある方は、以下の記事の文末の「こぼれ話」を読んでみてください。